先月開催した絵本作家の夢ら丘先生の「命を大切にする授業」において、授業に参加した子ども達に話をする時間をいただきました。主催者から「今回、首都圏を中心に台風による被害が発生しています。被災地のためにできること」のテーマをいただき話をいたしました。
今月、関東を中心に台風による被害が発生しました。昨年は関西、和歌山市内でも災害が発生したことを覚えていると思います。あの時は停電などの復旧作業のために他の府県からのたくさんの人が応援に来てくれて復旧を果たすことができました。
今回は関東の方々が台風の影響によって被災しています。このような状況になっていることを知った時「関係ないから」ではなく「何かできることはないかな」と考えて欲しいと思います。みんなは子どもだから被災した現地に応援に行くことはできないし、義援金などの応援の方法も難しいことだと思います。できることは和歌山から「頑張って」と応援の声を届けることです。応援の力は凄いから、小さな声でも被災した人のところにきっと届くと思います。このことは声が直接届くと言っているのではありません。心からの応援の声、心からの祈る気持ちは、温かい心として被災地に届くと信じています。みんなにして欲しいことはこのことです。
被災した人が困っている時に「何か応援できないかな。どうしたら良いのかな」と考えて欲しいのです。
みんなが「困っている人を助けて下さい」と声にすれば、それを聞いた大人は被災地にボランティアに行こうと思うかも知れないし、現地に物資を届けようと行動するかも知れません。みんなに代わって大人が行動してくれることも応援の声を届けることになります。被災した人のことを思いやれる人になって欲しいと思います。それが命を大切に思うことです。
人が困っている時は助けようと思って応援できる人になって下さい。みんなのそんな思いが大人を動かす力になるのです。今日、夢ら丘先生から「カー君と森のなかまたち」を通じて、命を大切にするお話を聞きました。話を聞いたみんなには、困っている人や助けを求めている人が近くいれば、話を聞いてあげられる人に、行動を起こせる人になって欲しいと思います。
子ども達に以上のような話をしました。子ども達も付き添いの先生方も、真剣に聞いてくれていたと感じています。被災地の人のことを他人事だと思わないで、自分のことのように思える人になって欲しいという願いを込めて思いを伝えました。
「社会問題が起きると、それに賛成する人も反対する人もいるけれど、ルールに従って結論が出された時は、それに従うことが社会を前進させることになると思います」という意見がありました。これは民主主義の本質をついています。社会で発生する問題に対して全員が賛成、全員が反対というものはありません。多くの問題、いや、ほとんどの問題は賛否に分かれます。
そんな時は議論を交わすことになります。国レベル、府県レベル、市町村レベルによって議論の範囲は違いますし、団体や組織の問題であれば所属する人の中で議論を交わすことになります。
議論は少数意見の留保が前提ですから、その問題に反対する人が少なかったとしても、賛成派の人は意見を聞いて丁寧に対応する必要があります。十分に説明を行い、議論を尽くした後で賛否を聞くことになります。投票、挙手など方法は違ったとしても、進むべき方向性を結論づけた時は、賛成の人も反対の人も、国や県、組織が決定したことに協力することが社会を前進させていきます。反対意見があったとしてもルールに基づいてみんなで決めたことをみんなでやることが民主主義社会のあり方です。
その問題を進めるために協力することを前提として、都度の反対意見は言っても良いのですが、進めている最中で中断させてしまうような強く反対する姿勢はいただけないと思います。
何事も全員が同意するまで進めることが出来ないようでは社会は発展しませんし、議論を交わす意味はなくなります。
ある国の人の話では「国民的課題に対しては、賛成、反対の立場の人は徹底的に議論を尽くします。二分するように激しく議論を戦わせますが、決定した後は賛成の人も反対の人も、国の方向性に従います。それがこの国におけるルールだからです」ということです。
民主主義のあり方として参考にしたい意見だと思います。