東京から絵本作家の夢ら丘実果さんと吉澤誠さんのお二人に和歌山市に来ていただき「命を大切にする授業」の企画がありました。勿論、出席して子ども達と共に自殺予防対策を学ぶ機会といたしました。夢ら丘さんは「カーくんと森のなかまたち」の著者で、全国の学校でこの「命を大切にするの授業」を行っています。
和歌山県には過去にも来てもらって子ども達に対して授業を実施したことがあります。その時は和歌山県で自殺が増加していた時であり、「何としても子ども達に自殺予防対策をしなければならない」と覚悟を決めて対策を急いでいた時でした。
当時の山口教育長は「カーくんと森のなかまたち」の絵本を県内の小学校に配布し、自殺予防対策として授業で活用することを指示してくれました。その一環として、和歌山県有田市内の公立小学校でこの絵本を活用した授業を実施したのです。
後に全国教育長会議で和歌山県が絵本を活用した授業実践の取り組み事例を発表したことで「自殺予防対策に熱心に取り組んでいる和歌山県」と名前が全国に響き、その後、この絵本を活用した自殺予防の授業が展開されていったのです。高知県や香川県を始め九州でも授業が行われ続けています。これらの件では自殺率が低下するなど成果を見せていることもあり「絵本を活用した授業を続ける」ことの判断を下しています。
和歌山県では絵本を配布した後の取り組みは、県議会一般質問でも質していますが、絵本作家を招いての授業は実施されていません。しかし和歌山県の自殺予防対策はもう「待ったなし」の状況です。
それは平成30年の和歌山県内自殺者は197人となり、人口10万人当たりの自殺率は21.2パーセントと全国で最悪になっているからです。参考までに全国平均は16.1パーセントです。
また昨日報道されたことですが、「小中高校などの『いじめ』調査」について以下のように、テレビ和歌山で報道され、いじめ認知率の多さに衝撃を受けています。
「文部科学省の小中高校でのいじめ・不登校などに関する調査によりますと、平成30年度の和歌山県のいじめ解消率は2年連続で全国1位とわかりました。
調査は、文部科学省が、平成30年度の全国の小中学校、高校、それに特別支援学校3万7192校の不登校児童生徒数の状況や、いじめの認知件数をまとめたもので、県内では公立の小中学校、高校と特別支援学校あわせて418校が調査対象になりました。
調査の結果、平成30年度の県内の公立小学校でのいじめの認知件数は5329件で前の年度より1454件増え、公立中学校では377件で前の年度より89件増えました。
また、公立高校でのいじめの認知件数は118件で前の年度より9件少なくなりました。
県教育委員会によりますと小中学校や高校、特別支援学校では『仲間外れ』や『集団による無視』といったいじめ行為が確認されましたが、『いじめ解消率』では、平成30年度の和歌山県は96.4パーセントで、全国平均を12.1ポイント上回り、2年連続で全国1位となっています」というものです。
つまり自殺率は全国で最悪、いじめ認知件数は5,329件もあることが明らかになりました。
もう自殺予防やいじめ予防対策として考えられる対策を迅速に実行しなければならない状況です。子ども達には全国に先駆けて実施している「絵本を活用した授業」を徹底するなど、他県で効果が出ている対策を実施すべきだと考えます。
本日は児童養護施設の子ども達に対しての授業を行いましたが、小、中学校でも授業で取り組むべきだと考えます。命を大切にすることを訴えている絵本作家自らが授業を担当してくれる機会を持つ気があれば持てるからです。夢ら丘さんからは、来週は高知県で授業を予定していることも聞かせてもらいました。
いじめられている人や元気のない人がいた時、仲間の存在が支えになります。「カーくんと森のなかまたち」で学んだことの中から、私達ができることを三点記載します。
- 話を聞いてあげて下さい。話を聞いてくれる人がいるだけでも元気になれます。
- その人の素晴らしいところを見つけて褒めて下さい。
- 元気がない友達には声を掛けてあげてください。
私達は色々な人に支えられてここで生きています。誰かがあなたを必要としているのです。
そして夢ら丘さんは「命ってドキドキするでしょう」と語ってくれました。そして「毎日の暮らしにありがとう」と感じて欲しいことを伝えてくれました。