活動報告・レポート
2019年10月8日(火)
建設委員会二日目

建設委員会二日目の視察のため、国交省四国地方整備局中村河川国道事務所を訪れました。

四万十川の支流である相ノ沢川総合内水対策計画について説明を受けました。ここは国と高知県、四万十市の三者が合同で河川改修を行っている箇所です。国は横瀬川ダムの整備など、高知県は排水樋門の新設と河川改修など、四万十市は既設排水機場の機能維持や雨水貯留施設の有効活用などを行っています。

四万十市河川視察

この改善は平成26年6月の豪雨により、この河川地域内で床上浸水被害などが発生したことで、これ以上の浸水被害を防ぐことを目的として、三者が協力して対策を講じることになりました。これはこの地域で過去最大の平成26年6月の豪雨と同程度の雨量を防げることを目指した対策を実施しています。

過去の災害を教訓として五年計画で防災対策を実施しようとしています。過去と同規模の災害を防ぐために、迅速さをもって対策に取り組んでいますが、国と県、市で協議を行い、役割分担を図りながら対応できていることが参考になります。どこが担当しようとも、目的は当該地域で暮らす皆さんの安全を確保し、安心な日常生活を過ごせることにあります。所管が違うや権限がない、予算がないなど言うのではなく、やれることをやっていく姿勢は共感できます。

和歌山県でも豪雨被害を受けたことのある地域がありますから、この取り組みを教訓としてやるべき箇所から対応していきたいと考えています。

またここでも吉野川市と同じように、災害に強い地域を目指して条例制定の動きがあります。例え浸水地域であっても、個人の土地利用に制限をかけることは簡単なことではありませんが、高知県では条例制定をしてでも安全確保を図ろうとする気持ちが伝わってくるものです。この条例は直ちに導入を図れるものではありませんが、防災に資する対策の参考になるものです。

その後、この浸水地域となっている現場を訪ねました。ここでは国の排水樋門の新設と高知県の放水路の新設、および四万十市の排水ポンプの新設を計画しています。

また既設の清水樋門も訪れて、二つの樋門を活用した排水の考え方について説明をいただきました。現在、この河川にある「清水樋門」を活用するという考えではなく、もうひとつ樋門を増強する方が防災につながるので予算化を図り、迅速に対応しようとしています。当該地域の皆さんの立場に立った三者の取り組みだと思います。

中筋川ダム視察

続いて四万十川の上流部にある中筋川ダムを訪ねました。中筋川流域は全域が台風常襲地域だそうで、中下流部の河床勾配が緩やかなこともあり四万十川からの背水の影響を受けやすくなっています。四国の河川の中で洪水の発生が顕著な河川だと説明を受けました。この地域の洪水対策のため、平成7年11月から中筋川ダムが運用されています。

この中筋川ダムの目的は防災操作が最大の目的です。100年に一度起こるとされている大雨が降った場合でも、ダムに雨水をため込んで下流に影響がないようにしています。中筋川ダムでは一年間に2回から3回、多い時には6回から7回、防災操作を実施してダムより下流の洪水被害を軽減しているようです。

このように、大雨や洪水の影響を受けている地域にとって治水ダムは、地域の安全を確保するために大きな役割を果たしています。

中筋川ダム視察 中筋川ダム視察

他にも中筋川ダムは、流水の正常な機能の維持、灌漑用水の確保、水道用水の確保、工業用水の確保などの役割を担っています。

また中筋川ダムは四国で一番小さいダムですが、自然調節方式によってこの地域と下流地域の安全を守っています。自然調節方式とは、このダムの場合、洪水期では水位が72.1メートル、非洪水期は74.1メートルになると、人が操作しなくても自然にダムの水が放水されるしくみになっていることです。

中筋川ダム視察

今日の視察では、四万十川の支流である下流地域の樋門や河川改修の取り組みについて、上流地域の治水ダムの建設によって貯水量を調整する取り組みをしていることを研修しました。河川対策は長い時間と大きな予算がかかり一大事業ですが、国と県、そして市が協力して、毎年、徐々にでも良いから進めていくことが対策であることを再認識しました。今回の事例を参考にすると、和歌山県でもできる取り組みだと考えています。