和歌山県田辺市で「きくらげ」の栽培をしています。生産者は「伏菟野きくらげ生産組合」の皆さんです。生産のきっかけは平成23年9月4日の紀伊半島大水害で、この地域が土石流などの大きな被害を受け田畑の仕事ができなくなったことです。
災害から立ち直るため、何か生産を始めようと考え、調査した結果「きくらげ」の生産が適していると行動を開始し、3年前から生産活動を行っています。「きくらげ」はビタミンDが豊富で健康と美容に良いので、最近注目されていますが、生産を始めた当初は特長を理解してもらえなくて苦労をしたことを話してくれました。和歌山県内で「きくらげ」の生産者は珍しいようで、「私のところを含めて2か所ぐらいだと思います」ということです。和歌山県の産品として売り出しを始め出し、今では首都圏やリゾートホテルなどが取引を始めてくれるようになっています。ここで生産される「きくらげ」は無農薬で手作業なので安全性が高く安心できるものだということです。この品質と安全性が理解されて取引が開始されたようです。
「きくらげ」は茶色のものと白色のものがあり、白色の「きくらげ」を生産しているところは珍しく、市場でも人気があるということです。
ところで「きくらげ」はチャーハンや野菜炒めなどで使用されていますが、他にも「生きくらげ」はお刺身として触感が良く、「しゃぶしゃぶ」などで食べても触感の良い食材だということです。
この生産地の食材としての特長は、厚みがあり安心できるものなので高級品として出荷しています。同じ「きくらげ」が並んでいても「品質に差があることを理解して欲しい」と伝えてくれました。ただ外観からは品質は分からないことや主食ではないことから、差別化を図ることが難しいようです。
和歌山県の被災地からの復興から生まれた「伏菟野きくらげ」ですから、市場で有力な地位を築き上げて欲しいと思いました。ただ和歌山県の農産物のブランド「プレミア和歌山」として認定を受けるには、菌種の植え付けから県内で行う必要があるようで、認定には至っていないことが残念です。案内してくれた生産者の懸命な話と姿など、一所懸命頑張っていることを感じたので、何か県として支援できないものか考えてみたいと思います。
紀伊半島大水害から8年が経過しています。その間、災害に怯むことなく、ここから何かを生み出そうと行動を起こし、復興の「伏菟野きくらげ」を生産しています。ここに生産者としても産品としても物語ありますから、全国に向けて「伏菟野きくらげ」があることを発信したいと思います。和歌山県のブランドに認定されなかったとしても、和歌山県内で生産されている食材なので、支援すべきだと思います。
理想は輸送費の単価を抑えることや、和歌山県産品として認定を受けるために菌種の植え込みから地元で行うことです。しかし全工程を地元だけで行うには資金やノウハウが必要となることやリスクを抱えることになるので、現時点は販売先を増やし、生産量を増加させることを目指しています。また市場に出せないような形や色の二級品の扱いに困っています。破棄すればロスになりますから、加工品として活用できないかを生産者として検討しているところです。こちらも面でも支援できるところがあると思うので考えます。
元気で明るく、そして力強い生産活動をしている「伏菟野きくらげ生産組合」の皆さんに案内と説明をしていただきました。和歌山県の元気を創り出してくれている皆さんを応援しています。
帰路、紀伊半島大水害の「災害復興記念碑」が建立されているところに立ち寄りました。故人のご冥福をお祈りして、田辺市伏兎野地域を後にしました。
火曜日からの視察の全工程を終えて、来週からの令和元年9月議会に挑むことになります。和歌山県の良さと飛躍につながるような取り組みにしたいと考えています。