活動報告・レポート
2019年9月4日(水)
南紀白浜空港
すさみ町コミュニティバス
片桐あきひろ

すさみ町でコミュニティバスを運行しています。町内の路線バスは全て廃止し、町営のコミュニティバスに切り替えています。これは高齢化が進んでいることからバスの存続と運行経路を見直すことはとても大事なことから町長が英断したものです。

町営にすると利用者の話を聞いてバス停を変えることが容易であることや、必要な路線変更もできることが大きな利点です。バス停の位置は一年に一度、見直しているとのことで、利用者の声を聴いて変更ができるのは公営ならではの取り組みだと感じます。

コミュニティバスは町営で、運行は地元のすさみ交通が請け負っていますが、元々、路線バスを運行していた事業者として、町から委託を受けていることから経営的にも安定しているようです。

町内の全てをコミュニティバスで結ぶ取り組みは、高齢社会を迎えている和歌山県内の市町の参考になるものだと考えています。先日のサービス付き高齢者住宅で議会報告会を行った時、一番多かった質問と要望は路線バスの利便性向上についてのことでした。和歌山市内の中心地以外のところの路線バスのあり方を考えるうえで、このコミュニティバスの運営は参考になるものですから、政策に生かしたいと考えています。

南紀白浜空港

白浜町を訪れる観光客は年間約340万人、人口は約2万人の町に南紀白浜空港があります。空港の利用客は年間約16万人の規模であり、これは関西空港の利用者の二日に相当します。県営の地方空港を民間事業者が運営を引き受けてくれています。


南紀白浜空港

また白浜町の年間所得は約243万円で、全国1,741市町村の中で1,535位となっていて、観光地のイメージと比較して取得が低いように感じます。その理由として、観光客の多くは日帰りであることや夏場の海水浴客に集中していることから、お金を使うしくみができていないことが考えられます。観光客に滞在してもらうこと、お金を使ってもらうことが大きな課題で、拠点空港として課題に挑戦してくれていることを心強く感じました。

参考までに、和歌山県全体の観光客で見ても、約85パーセントが日帰りになっているようです。そこで観光やビジネスで人を呼び込むことは、地域間競争なので、人に来てもらえるしくみを創る必要があります。白浜町ではワーケーションオフィスを設置して首都圏から企業を呼び込み、空港の利用促進につなげているところです。


南紀白浜空港

これから利用客を増やすためには戦略と制約があり、それらを解決していく必要があります。まず制約条件は、滑走路が2000メートルであることです。大型機の発着ができないことから、外国からの便を誘致することが困難なのです。外国からのお客さんに来てもらうためには、航空会社は採算性を図りますから、少ない搭乗では運行は難しくなります。最大で160人の搭乗者に留まることから、どうしても利用は難しくなります。


ですから大規模な人数を呼び込むことよりも、毎年、少しずつ利用者を増やしていくことを考えています。そのためには白浜町だけではなく南紀全体、更に、和歌山県全体の観光とビジネス客を増加させることが必要です。

南紀白浜空港を拠点として広域で考えると、串本町の民間ロケット射場や和歌山市で誘致している統合型リゾートとの連携を図ることが県全体に波及効果があるものです。

串本町の民間ロケット射場に見学のお客さんが来るとすれば、国道42号線は大渋滞になりますから、車の利用を制限することも考えなければなりません。その時、旧南紀白浜空港には3,000台の駐車スペースがありますから、空港とJRを接続するなどの面で拠点として活用できます。


南紀白浜空港

また和歌山市に統合型リゾートが誘致できれば、関西空港と南紀白浜をヘリコプターなどで結ぶことや、プライベートジェット機を受け入れることなどにより、拠点空港となります。南紀白浜空港は南紀だけの拠点ではなく、和歌山県全体の観光振興やビジネスの拠点になり得るので、今後とも更に和歌山県や市町村と連携を図り、利用方法を考えるべきです。

ところで白浜町の平均所得が低いことに関して、人件費をあげることも方策であることの話になりました。ホテル、旅館の人件費をあげることでホテルでのサービスの価値に転換できれば、宿泊費が上昇してもお客さんは来てくれます。もし転換に失敗したホテルがあったとしても、新たなサービスの価値を生み出したホテルに人は移動することになり、失業率は高くならないということです。域内経済を循環させるために人件費の向上は不可欠なので、今後、考えるべき項目だと思います。

南紀白浜エアポートサービスの岡田社長の話はいつも元気があり、拠点としての空港への期待度が高くなります。