串本町で民間ロケット射場の建設が進められています。本州で民間ロケット事業を行うのは串本町が最初ですから、経済効果、雇用促進そして観光振興への期待が高まります。
この場所に建設する理由は次のようなことからです。
半径1km以内に民家がないこと。事業への理解が得られたことから早期に土地収用ができたこと。串本町の所有地が70パーセントあったこと。ロケットを打ち上げる方向の南東が海であったこと。などが主な要因です。
また今後のスケジュールは次の通りです。
2021年度中に初打ち上げ。2025年に年間20機を打ち上げ。それ以降は最大年間50機の打ち上げを検討しています。土地造成工事は既に開始していて、来年9月には土地の造成が完了する見込みです。
観光産業への期待がありますが、射場地点から半径1kmの範囲に人は立ち入ることができませんから、この地域内での見学はできません。この範囲を超える地域からの見学になるので、ロケット射場の見学場所確保を検討しています。射場の高さは20mで周囲の山は100mなので、発射の瞬間を直接見ることはできないようです。
この小型ロケットは、企業などから依頼を受けて人工衛星を打ち上げることをビジネスにします。ロケットは地上500メートルの地点で人工衛星を軌道に乗せることにしています。この500メートルの宇宙空間ですが、地球の重力の影響を受けるそうです。ですから少しずつ人工衛星は地球に近づくことになり、やがて地球に墜落することになります。
そのため人工衛星は永遠に地球の周りを回り続けるものではないので、このビジネス需要は継続してあることになるようです。つまり人工衛星も消耗品なので、ビジネス需要は続くことになるのです。
ところでロケットは発射してから約20秒で視界から消えてしまうようですが、この20秒のために観光客が集まることになります。発射してから20秒だとしても、待ち時間の臨場感や現場感覚を味わうことが非日常体験となりますから、日本に数少ない観光資源になります。
ところで宇宙は子ども達にとっても憧れであり、宇宙産業に関わる職員さんが学校の授業で説明してくれることは子ども達にとって大きな刺激になります。将来宇宙を目指す子どもが現れたり、勉強に興味がわき成績向上につながることも期待できます。以前から訴えていますが、宇宙は教育に強い関連があります。是非、宇宙を教育現場につなげたいと考えています。
そして道路が混雑することへの対応についてです。
民間ロケット射場が完成し、ロケット発射の時は多くのお客さんがこの地を訪れると予想できます。射場に入るための国道42号線の交通容量は3時間当たり最大2,100台、自動車が通行することを想定しています。現状3時間当たり700台なのでスムーズな走行ができています。ところがロケット打ち上げの時の交通容量は3時間当たり5,500台を想定しているので、渋滞を招くことになります。
この渋滞は串本町から那智勝浦町に向かって20km、串本町から白浜町に向かって20kmの渋滞と想定しているので、国道は動かなくなります。高速道路が串本町まで延伸するのは数年先ですから、渋滞を招かないためにはJR紀勢線を利用することが必須です。
公共交通機関を利用することも視野に入れて、交通対策を検討しているところです。
僕からの要望は次の通りです。
- ロケットの打ち上げのない時期の観光対策として、管理棟や射場を見学できるようにして欲しいことを要望しました。
- 和歌山県教育委員会ではスペースティーチャーズを養成し活動しているので、串本町の教育生かしてくれることを望んでいます。
- 国道から射場への侵入路は事業者が道路を敷設することになっているので、一般の人は進入できなくなります。この道路に入るためには串本町の公用車などに限定されることから、観光ツアーを企画した場合は協力してもらうことを要望しました。