活動報告・レポート
2019年8月20日(火)
研修会二日日
幌延深地層研究センター視察

研修会の二日目は稚内市から幌延町に移動して、幌延深地層研究センターに向かいました。ここは地下の自然環境や特性を調査、解析を行っている研究所です。地層研究は将来発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けたものですが、幌延町のこの研究所は処分地にすることなく、あくまで地層研究を行う目的にしています。

地下の世界は人類にとってまだ知ることのない場所なので、長い時間をかけて特性を調べているのです。温度は地表よりも高く、地震の影響は岩盤が硬いため地表よりも受けません。また空気がない、地下水がゆっくりと流れているなど調査すべきことが多くあり、将来、処分する対象物を安全に地層内で管理するために必要な研究所です。地下350メートルの地点まで降りましたが、地表よりも温度は高く、湿度も高くなっていました。ただ地震の影響は小さく地表の揺れの4分の1か5分の1ぐらいの揺れだそうです。これは地震計を取り付けてデータを取っていることから分かるもので、地下は地層が硬く安定していることから更なる研究を期待しています。

幌延深地層研究センター視察

今回の視察目的は、参加メンバーが日頃からエネルギー問題の勉強会を開催して学んでいることから、実際の地層処分の研究所を視察して知識を確認し、自分のもの(知識)として人に話せるようになることを目指しています。

一度だけの視察で全てを知ることや学ぶことはできませんが、机上の学習に現地視察を加えることで、より知識が深まり見たことなので、専門的な話は別として少しは人に話せるようになれると思います。やはり現地を見ることで知り得ることは多いですし、専門家の話を聞くことで知識を補完できると思います。

また地下350メートルは東京タワーを登るよりも距離がありますが、周囲が暗くて見えないため高さを感じにくいのですが、私達が生活している環境とは全く隔離されている別世界だという感覚がありました。生活空間から隔離された地下約350メートルという世界が存在していることが分かりました。私達が日常、思い浮かべる地下とは、水道管の地下埋設や地下鉄、地下街などになると思いますが、同じ地下でも地層に囲まれた約350メートル下の世界は全く別物です。

幌延深地層研究センター視察

人が長期にわたって管理が難しいことを自然環境の中に置くことで、世代を超えて長期にわたり安全に管理すること。それが地下約350メートルから下の世界では可能ではないかと感じました。 私達の生活は先人たちの築いた科学技術の上に成り立っています。科学技術の恩恵を受けながら生活をしていますから、そこから発生する懸案に利益を受けている世代がまず対応すべきだと思います。科学技術からの利益を受けて、発生する懸案は知らない、対応しないでは無責任だと思います。

わが国では1970年代に実用化した原子力技術ですから約40年間、この科学技術の恩恵を受けながら生活をしてきました。高レベル放射性廃棄物処分の懸案は未解決のまま判断を先送りしてきました。懸案解決の道筋をつける時期が近づいていると思います。懸案解決に取り組むことが現役世代の責任であり、考えない、取り組まない、解決策に関して話し合わない、では責任ない立場でいることだと思います。知り考え行動することが社会においての基本です。

幌延深地層研究センター視察

研修会を終えて参加したメンバーから感想を聞かせてくれました。

「こんな凄い現地研修は初めてです。勉強していることの理解が深まりますし、視察というよりも体験させてもらったことで、少し話せるレベルになったと思います」。

「片桐さんと出会えたからこのような機会があったと思います。これまで経験したことのない世界を案内してもらったので、考えるべき分野が広がりました。避けて通れる問題であれば避けたら良いと思いますが、避けられない問題であれば知って自分のこととして考えるべきだと思いました。貴重な体験をさせてもらったことに感謝しています」。

「思っていた通り、それ以上の充実した内容の研修会でした。弾丸の行程だと思っていたのですが、話し合える時間も確保してくれていたので楽しく学べました」。

皆さんから嬉しい感想を聞かせていただき感謝しています。