長年、行政に携わってきた方との懇談の時間を持つことができました。県政についての話、まちづくりに関しての話など有意義な意見交換の場となりました。
まちづくりの成果が表れるまでには20年ぐらい要します。今仕掛けていることの成果が見え始めるのは20年後になると思います。ですから、まちづくりに関して「行政は何をやっているんだ」、「何も成果が見えないではないか」という意見を聞くことがありますが、やっていることが見え始めるまでに時間を要するので、やっていることの速度が遅く感じているのです。
今、ここで成果が表れている取り組みは20年ぐらい前から仕掛けているものがあり、これまで育ててきた果実を刈り取る時期に来ているということです。最初から実っているものはありませんし、短期間で成果が表れる性質のものもありますが、ことまちづくりに関しては20年ぐらいかかるものもあるのです。
和歌山県内でロケット射場の建設は、関係者の間では以前から「実現したい」と話を交わしたことや、地道な取り組みを行ってきたこともあります。それでも企画案を検討してきたようなものでした。2年後の令和3年度に実現することは信じられないようなことだと思っています。実現が困難だと思いながらも話し合っていたことが、実現するまでに至ったことは信じられないような嬉しいような気持になります。
同様に、和歌山市中心市街地のまちづくりに関しても、20年ぐらい前から企画案を作成し協議を進めてきたものです。一気に進んでいるように見えますが、しっかりとした議論と計画など経て、令和の時代に実現しようとしているのです。このように多くの人が関わって実現できるものが県政や市政であり、特に時間を要するものがまちづくりです。
そして県行政、市行政が本気でまちづくりを進めていると、民間事業者のところに情報が届きます。これらの事業者は和歌山県に関心を持ってくれることになるので現地に入り、有望な場所や事業に投資を検討してくれることになります。行政がまちづくりの核を作ろうとすれば、その周辺には投資が生まれます。民間投資が進むようになって初めて、まちづくりが成功していると評価できると思います。県内の中で、特に和歌山市は民間投資を含めたまちづくりが進展しているのです。
観光や企画、財政など、様々な分野の行政経験のある方と話し合った時間は、とても楽しい時間となりました。30歳代の時、この方が書いた企画書を読んだことを今でも覚えています。データに裏打ちされた分析と今後の進め方、企画案に含めるべき精神などが書かれていて、勉強になったことを鮮明に覚えています。この企画書を読んだ後、「この企画書を書いた人はどなたですか」と尋ねて、その人が所属している課を訪ねたこともあります。
真剣にまちづくりについて考えていたことを覚えいますし、懐かしい同士のように思います。建設的な議論を交わした人とは、何年が経過していても、久しぶりであっても、どこか心が通じ合うものがあります。若い頃に話していたことが実現しつつあることを嬉しく思えるのは、あの頃から現在まで、何かの形で県行政に関わってきたからだと思います。
私達の年齢からすると、これから到来する20年という年月を待つことはできませんから、若い時に描いたこれからの20年、そしてそれ以降に描いている現在進行形の20年の成果を実現させることを大切にしたいと考えています。
同級生の経営しているお店を訪ねました。「これから行くから」と電話を入れたところ、「部屋を用意します」と答えてくれて、おもてなしと共に準備をしてくれていました。頑張っている姿に接して励みになりますし、心配りもいただいたことに感謝しています。