日曜日の若い皆さんを対象とした議会報告会に参加してくれた方から後日、次のような質問をいただきました。
質問1
メガソーラーが和歌山市内の和泉山脈で建設され、稼働しておりますが、メリットとデメリットを考えたときにこれから先も拡充すべきものでしょうか?
また新たに建設する場合、山林の伐採や土砂災害などへの対策はどのようなアセスメントに則って行われるべきでしょうか?
回答1
和泉山脈だけではなく山林の大規模な開発を伴うメガソーラー計画が和歌山県内にあります。
再生可能エネルギーは国が推進している政策であり、和歌山県も適地性があることから推進の立場を取っています。
しかし適地性があれば立地を推進するのであって大規模開発を伴う再生可能エネルギーに関しては自然災害への備えは大丈夫なのか。地元住民の皆さんが不安を感じている場合の地元説明と事業者からの計画に基づいた回答などを総合的に勘案して態度決定をすることになります。以前は林地開発を伴う大規模な開発計画は、和歌山県の要綱によって地元自治会の同意を必要条件としていましたが、現在は地元説明を実施した場合、それで申請要件を満たすことになっていますから、地元自治会の同意書類を必要としていません。
具体的に言うならば次の通りとなります。
(1)地元の意見を反映することができるのか。太陽光発電について、規模や設置場所の関係から環境影響評価や森林法等の適用を受けない場合や、事前に地域住民等に説明が行われないまま事業が実施され、トラブルが生じた事例があったことから「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」を制定し、太陽光発電事業を行う者は、あらかじめ計画を策定し、知事の認定を受けることとし、認定申請の条件に関係自治会等への周知義務を課しています。
事業者から事業計画の認定申請があった際には、県が1か月間申請書等を縦覧し、関係自治会や住民等利害関係者は自然環境、生活環境、景観等、環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から意見を述べることができることとし、出された意見に対して知事は事業者に見解を求めなければならないこととしています。
認定の可否を決する場合は、こうした意見や見解、さらに市町村長の意見、和歌山県太陽光発電事業調査審議会の意見も踏まえ、安全面、環境面、景観面及び市町村の条例等も含めた法令上の認定基準に適合しているか、科学的かつ総合的に判断することにより、これまで意見を述べる機会がなかった住民の意見が反映される仕組みとなっています。
(2)林地開発許可制度における地元同意について。平成30年3月23日に「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」が公布され、透明性・客観性・理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことにより、同条例に規定する住民の意見を反映させるための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意書に代えることができるとしています。
したがって、この条例の手続きを進めることで、これまでどおり地域住民等の意見が反映されるものと考えています。
(3)「和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例」による審査について。事業者は事業計画案を示し、関係自治体や住民に事業内容を説明し、その後、縦覧に供した上で、市町村や地域住民がその開発計画が不適当だと思えば、県に意見を述べる機会を設けるという制度にしています。
その際、県は必要に応じて専門家に意見を聴くなど、客観的かつ理論的な視点において審査されるよう手続きを制度化し、透明性・客観性・理論性を備えた仕組みを整えました。
同意という無限定なものから、住民の懸念に対して、科学的に判断をすることにしていることから、地元とは何を指すんだと言うような不明瞭なものも排することができますし、かつてこの議場で提起されたように同意を得るために金銭が動くというような不合理な面も排除できると考え、同条例に規定する住民の意見を反映するための必要な措置を講じたことを証する書面をもって、同意書に代えることができるとしました。
必要な措置を講じたことを証するというのは、勝手に事業者がやりましたと言ってもダメで、県の審査があって、審議会などで議論した結果、これだと県が考えて、これをやりなさいと言ったものを、事業者がやりますと言って持って来たら、それで結構です、ということになっています。一番初めには勿論県の考えもありますが、地元の方々の議論には全部答えるようなものでなければいけません。
ただし、住民の意見といっても不合理なものもあるかもしれません。それについては審議会などで意見が出たものについては反映できないかも知れません。
このような形で全部解決されたら、それで結構ですというのが新しい制度です。
従って、この条例の手続きを進めることで、これまでどおり地域住民等の意見は反映される仕掛けになっています。