活動報告・レポート
2019年7月11日(木)
仁徳天皇陵

令和元年7月、仁徳天皇陵が世界遺産になりました。大阪で世界遺産が誕生したことは嬉しいことですし、わが国の誇りになるものです。今回も単に世界遺産が増えたことを喜ぶのではなく、選ばれた背後にある価値を世界が見定めてくれたことを喜びたいと思います。

仁徳天皇に関わる有名な逸話の話をしました。それは次のようなものです。

天皇が難波に都を定めた時、民のかまどから炊煙が立ち上っていないことに気づいて3年間租税を免除したこと。そして、その期間は倹約のために宮殿の屋根の茅さえ葺き替えなかったと言う逸話です。この逸話にあるように、仁徳天皇の治世は仁政として知られています。

民の生活を思い治世をしたことから、天皇が崩御された後に、民は天皇の死を悲しみ、巨大な前方後円墳を作りました。それが現代に残り、仁徳天皇の為政者としてのあり方を示すものだと今も語り継がれているのです。

国を治める天皇の精神と、国民が善政を実行した天皇を敬愛する心が評価されて、世界遺産に認定されたとするのが本質だと思います。

世界遺産はその大きさや古さなども大事だと思いますが、そのもの自体に秘められた人々の精神がより評価されるものだと思います。

和歌山県の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」も日本人が有する精神性が評価されたものです。日本人が持つ自然への畏敬を素にした自然崇拝、世界に類を見ない神仏習合、そこから導かれている蘇りの地であることなど、この世界遺産は、日本人が持つ崇高な精神性が高く評価されたことを理解する必要があります。

加えて熊野古道は、中世に天皇が行幸として熊野詣を行ったのは、これら自然信仰と共に神武天皇が八咫烏に導かれて大和に入った足跡を訪ねることで、祖先を敬う気持ちを伝えたかったかも知れないと思うのです。祖先を敬う気持ちは誰でも持っている心であり、祖先を導いてくれた大切な地を訪れたいと思う気持ちを行動に表したのが熊野詣のような気がします。

日本が誇る世界遺産には、日本人の精神が宿っていると思います。その精神性をそれぞれが考えることに世界遺産の価値があり、私達が護るべきものだと感じて欲しいと思います。世界遺産に認定された後は観光振興につながりますが、世界遺産は単に観光振興を目的とするものではないのです。

和歌山県の世界遺産と仁徳天皇陵は、そこに関わった人達の高い精神性が評価された点で共通していると思います。二つの世界遺産の所在地は和歌山県と堺市ですから、両方の世界遺産を結ぶ交通手段の利便性を高め、両者の観光PRを行うことでより多くの観光客に来てもらい、特にここを訪れる外国人には、日本人の持つ優れた精神性を感じて欲しいと思います。

仁徳天皇陵が世界遺産になり、改めて「紀伊山地の霊場と参詣道」の価値を考える機会となりました。インバウンド観光客にはできるだけ双方の世界遺産を訪れ、日本人が持つ高い精神性と、日本人が大切にしている敬愛の精神を感じて欲しいと思います。

日本人の心、そして誇るべき歴史。そこから学び伝えるべきものについて意見を伺うことができました。直接的に、そしてブログを読んでくれた皆さんの感想を通じて、お互い高め合えることを嬉しく思います。