活動報告・レポート
2019年7月5日(金)
書道教室作品展
書道教室作品展

第六回山西書道教室作品展が今日から日曜日まで開催されます。今年も作品を出展させてもらっています。今回は「奮」の文字を作品として仕上げています。展示会場に並べてもらうと、他の作品と同化して、レベルを引き上げてくれているように感じます。先生と生徒の皆さんと共に会場で準備を行い、お客さんを迎えることになりました。

教室展初日、地元高校で書道を授業で履修している生徒の皆さんが会場に来てくれました。

引率の先生から「片桐さんの作品を生徒たちに紹介してあげて下さい」と依頼があったので、作品の前で説明しました。

書道教室作品展

山西先生は自由に伸び伸びと書くことを薦めてくれています。形に捉われず縮むことなく思った通りに書くよう指導してくれているので、作品を仕上げるのは楽しくてとても書きやすいのです。僕の場合、半紙に小さくまとめるのではなくて、半紙いっぱいを使って文字を書いていきます。特に書き出しが大事だと思うので、太く力強く書くように努めています。書き出しが弱いと後に続く線も弱くなってしまうので、最後まで文字に勢いを持たせるよう書き始めています。

今回の「奮」という文字は奮闘することですから、躍動感が感じられるような作品に仕上げたいと思いました。今年は奮闘することを目標にしていますから、奮闘の様を伝えるようにしなければ意味はなくなります。小さく奮闘することはありませんし、弱い奮闘もありません。奮い立つことが奮闘なので、そんな感じを出せるようにしたつもりです。

また一つの作品を仕上げるのに、今回三か月で200枚ぐらいは書いていると思います。量を書かなければ質が高まらないからです。勿論、先生は一枚書いただけで作品になるのですが、先生でさえ、作品展に出展する場合は千枚から二千枚ぐらいは書くと聞いています。そこまではいきませんが、作品を仕上げる場合は百枚単位で書いています。

書くと分かるのですが、最初に書いたものよりも後半に書いたものの方が良くなっていると思います。たくさん書くことで筆遣いが作品に慣れていくことから、最初に書いたものよりも後に書いたものが良くなっていると思います。

一つの作品の裏にはたくさん練習したという結果が潜んでいるのです。一枚を仕上げるのに一枚だけ書くというのは考えにくいと思います。

生徒の皆さんに伝えたいことは、基本は大事ですがそれに捉われてしまうと自由に書くことができなくなるということです。「楽しく、伸び伸び」が良いと思います。

書道教室作品展

以上のような説明をして、生徒の皆さんを送り出しました。生徒の皆さんには、現地に行って作品を見ること、作者などの話を聞くこと、作者によって作風が違うこと、そして他と違って良いことを伝えたいと思います。

初日から大勢の皆さんに来場いただいたことに感謝しています。和歌山県の書の文化を少しでも感じてもらえるなら幸いです。

文化度

「大人の勉強の場は博物館と美術館です」と話してくれました。博物館や美術館に行く県民が多いほど、県の文化度は高いと教えてもらいました。特に地元の文化財や美術品を常設展示している県の文化度は高いそうです。

「文化度を高めるためには、和歌山県の文化財と美術品を常設展の中で展示すべきです」と話してくれたように、常設展が地元の美術品で充実している県は文化度が高く、そうでなければ文化度は低いと思います。小さい頃から地元の美術館や博物館に行っていれば、故郷の歴史を学び誇りに思うことになります。知っていることが人に話すための前提ですから、知らなければ人に話すことはできないのです。

そのことが理解できる話をしてくれました。

「先日、熊本県を訪ねた時、地元の24歳の女性が、約40分も熊本県の歴史と文化について話してくれました。熊本県民は加藤清正のことをどれだけ誇りに思っているのか熱意が伝わってきました。そして和歌山県の文化度は低いのでこのままではいけないと感じました。

子どもの時の故郷の偉人教育が欠けているのだと思います。子どもの時に故郷の偉人の功績を伝えなければ、故郷と故郷の偉人の功績を知らないまま大人になってしまうことがあります。知らなければ誇りに思うことはありませんから、まず故郷を知ることが大事です。どうか和歌山県の文化レベルを高めて下さい」という話です。

和歌山県の歴史や文化を知らなければ、この熊本県の女性のように人に話をすることができないのです。他府県から和歌山県を訪れてくれた人が「和歌山県の文化について教えて下さい」だとか「和歌山県の代表的な偉人の話を聞かせて下さい」などの依頼があった時、故郷の偉人、紀州の文化を話せることができるでしょぅか。和歌山県民なら故郷の偉人の功績を誰でも話すことができるのが文化度の高さだと思います。

それができていないのであれば学校教育を見直す必要がありますし、大人は博物館や美術館に行くことが求められると思います。「紀州文化を子供や大人に教えてもらって、次に継承して欲しいと思います」と要望をいただきました。大切な話を聞かせてもらいました。