令和元年6月県議会定例会が閉会しました。統一地方選挙後の初めての本会議であり、新元号最初の議会なので、思い出に残る議会となりました。今回も一般質問で登壇させていただき知事を始め企画部長、教育長と議論を交わせ充実した議会となりました。一般質問は県民の代表としての声を反映させる場であり、議員としてとても大切にしているので発言の機会を得られたことに感謝しています。
提案された議案は委員会審査で可決されたように、本会議でも全ての議案が可決されました。次回県議会は9月開催となります。
昨日のNHKの歴史秘話ヒストリアで、陸奥宗光元外務大臣が取り上げられました。坂本龍馬との出会いから始まり不平等条約改正までの物語は、人としての「生き様」を伝えてくれました。
尊敬できる人、導いてくれる人との出会い。行動する時に動ける瞬発力。優れた交渉術。そして心を揺さぶる演説。陸奥宗光伯の人生が描かれていました。
中でも交渉は、自国、自分の立場が優位になるよう進めることが必要です。相手のことを想いながらも勝たなければなりませんし、混乱させてもいけません。僕は、難しいことを平穏に、水面下のことは知らせることなく、何事もなかったように決着を図ることが優れた交渉だと思っています。ですから交渉とは得られる成果を最大にすることを目指さなければなりません。利害が相反するかもしれない相手の立場を理解しつつ優位に話を進めるためには、現場での駆け引き、状況に応じた判断が求められます。完璧な交渉はありませんから、結果だけを見て評価する人は「もっとやり方があったと思う」だとか「自分が有利になるような結論はおかしい」などの批評、批判をすることがあります。
しかし現場にいなければ心理戦ともいえる交渉の駆け引きや、決着に向けて攻め込むタイミング、落としどころは分からないのです。結果を見て批判は誰にでもできますが、交渉は誰にでもできません。全てを表面に持ち出すような交渉をすれば、多くの場合、まとまらないばかりか議論が白熱し決着できないで終わることになります。
交渉する立場の人は本当にしんどいものですが、私のところで何とか解決したいと真剣に思い交渉しているのです。一つの結果が導かれると、あり得たかも知れない別の結果は消えています。
「交渉した結果に納得することなく、別の結果があり得たと思う」という意見がありますが、別の結果が導かれた場合でも、「別の方法があったと思う」という意見が出されます。一番しんどいのは現場で交渉に当たった人です。ですからまずは、「お疲れ様」など、交渉して結果を出したことを称えて欲しいと思います。
陸奥宗光伯が行った外交交渉は、その後の多くの日本人を幸せにしています。江戸時代からの条約によって日本国内で領事裁判権や治外法権などの権利を有していた外国人にとっては、「納得できない」と思う条約改正だったと思いますが、対等な関係になったことで、その後は近代国家同士の対等国としての政治やビジネス展開の道が開かれることになったのです。
交渉結果を見た人の思いはそれぞれの見方で違うと思いますが、時代が前に進む、問題が起きる危険性を予め取り除くことなどの得られた成果を評価して欲しいと思います。
誰もが納得できるような交渉結果を得ることは困難ですから、この先の衝突を回避できるような交渉結果を導けた場合は、それが不完全だとしても労いの言葉で称えたいと思います。交渉は交渉する人や交渉の日時や場所によって変わる生き物であり、問題を解決させ、今後につながる結果を得るために行うものだからです。