外務省外交史料館を訪問しました。訪問の目的は、令和元年11月に和歌山県立近代美術館で外交史料展を開催する予定なので、企画内容に関する打ち合わせをすることです。
平成30年に外交史料館で「明治外交史料展」が開催され、素晴らしい企画なので、和歌山県でも是非、開催したいことを依頼、そして県議会一般質問でも取り上げながら和歌山県での開催準備を進めてきましたが、いよいよ今年開催の年を迎えました。
この展示会の地方での開催は北海道、鹿児島に次いで和歌山県が三ヶ所目となりますが、今回の外交史料展では約40点の史料を展示する予定にしていますから、この企画では最大級の展示となる予定です。
明治の外交は、江戸時代に列強の国々と結ばれた不平等条約改正が大きな課題でした。その最大の功労者が陸奥宗光元外務大臣と小村寿太郎元外務大臣の二人の偉人です。和歌山県での開催にあたり二人の偉人の功績である条約、批准書も展示予定ですから、わが国の外交史を学ぶ絶好の機会となります。何より和歌山県で本物の条約や批准書を見ることができる機会は、これ以降はないかもしれませんから、最高の展示企画になるよう準備を進めています。
また不平等条約改正までの流れが理解できるように、江戸時代に列強の国々と結ばれた条約から陸奥宗光伯、小村寿太郎伯、それ以降の時代までの史料をお借りして展示予定にしています。
条約改正までの道のりは長く厳しかったのですが、不平等条約改正があったから現代の日本があります。歴史は過去から現代まで切れ目なくつながっていること、熱意のある多くの人が関わっていることを学んで欲しいと思います。鹿鳴館での社交や外国から要人を迎える時のコースメニューなど、外交史を支えた側面も分かる史料も展示予定です。
江戸時代の外交史料は日米修好通商条約です。江戸幕府がアメリカと締結した条約は、外交経験が少ないことから治外法権や関税自主権など不平等なものになりました。後々諸外国ともこの条約を基にして締結していくのですが、更に不平等な内容になっていきます。経験が少ない中、条約締結をしていったことが、明治政府が近代化していく上での大きな課題になったのです。陸奥宗光伯、小村寿太郎伯の条約改正に至る史料の流れを見ることで外交とは何かを考える契機になると思います。
その後の日英同盟の史料も展示予定ですが、これは案外簡単な内容であることに驚きます。枚数は4枚、急遽作成したような走り書きのような文字。イギリスが対ロシアを意識して日本と同盟関係を築くことを決めた歴史の動きが分かります。全く歴史とは生き物であり、人によって歴史は変わるものだと分かります。この日英同盟は当時の日本にとって特に対アジアに対して大きな力になっています。
当時、アメリカが覇権国のイギリスに逆らえなかったことから、この日英同盟が邪魔になり日英同盟を解消させたいと考えた動きをしたことも、日本が列強の動きに巻き込まれていく大きな歴史のポイントになっています。
この日英同盟を破棄したことから大戦へとつながっていくことになりますから、登場人物の判断や時代の空気が私達の将来に大きな影響を与えることになることが分かります。現代社会も都度の政治判断によって方向性が変わっていくことを知って欲しいと思います。誰が政治に関わるのか、誰に政治を託すべきなのかなど、国や地方自治体の方向性は私達の判断次第で変わることになるのです。外交史を通じて政治と社会のあり方、私達の暮らしている環境が変わっていくことを感じ取って欲しいと思います。
そして危機に際して歴史は優れた偉人を登場させています。不思議なことに歴史の転換期には歴史は偉人を輩出させているのです。偉人達の考え方、その時の判断とどのように歴史の流れを創っていったのかも学びたいところです。
和歌山県で開催する「明治外交史料展」が素晴らしい企画になるよう取り組みます。