「私達の小さな声を聞いてくれる議員さんはなかなかいないので期待しています」と話してくれました。どうしてこんな話をしてくれたのかと尋ねてみました。そうしたところ次のような話が過去にあったと聞かせてくれました。
「この地域では高齢化が進み自動車を運転できない人が増えてきました。買い物や病院に行く時、自動車の運転ができなければ不便で生活に支障が出てくるので和歌山市内の路線バス運行を充実して欲しいと思います。運転免許証を返却すればタクシーか路線バスで外出しなければなりません。和歌山市の場合、中心地以外は交通の便が不便なので路線バスの運行の見直しをして欲しいと思います。この地域だけではなくて多くの地域、高齢者が望んでいると思います。ぜひ、政治の場で取り上げて下さい」という話を某議員に依頼したそうです。
議員からの返答は次のようなものだったそうです。
「路線バスを走らせたら、あなたは必ず乗るんだろうな」という答えだったそうです。
この人は「必ず乗るとは今は言えません。私はまだ運転免許証を持っているので、乗るとは言えないのです。地域の高齢者が困っているから要望したのです」と意見を言ったところ、「乗らないなら言う資格はない」と告げられたそうです。そして議会で取り上げてくれることもなく、それ以降の回答もなく現在に至っているという話でした。
路線バスは民間事業者が運行計画を策定しているので、運行地域の拡大や増便を政治が決定できるものではありません。だからこの議員の回答は正しいのかも知れませんが、これでは心が入った政治とは言えません。多くの人は心の通う政治を求めていると思います。
直接、市役所や県庁に話をしても聞いてくれないことがありますから、議員に依頼することが多いと思います。
だから難しいと思うような要望であっても、地域にとって将来必要と思えるものは課題として認識し、所管箇所と協議することや議会で将来発生する課題として提言するなどの行動を取るべきだと思います。要望に対して即答で「できない」と回答するのであれば「議員としての心構えは果たしてどうなのかな」と思います。
依頼者は心ある政治、心ある行動を期待しているので、そのことができないとしても、自分ではできないけれど議員であればできるであろう行動をして欲しいと思っているのです。行動した結果、それができなかったとしても、「やらない」で「できない」と伝えるのと、「やったけれど無理だった」というのとでは、行動力が違います。
社会情勢は時代とともに変化していきます。自動車の時代になって路線バスの必要性は小さくなっていった経過があります。確かに、今直ぐに路線バスの運行を見直して拡大するという選択肢はないと思います。でも運転免許証を返却する高齢者が増えていくのは確実ですから、路線バスや自動運転の車の導入を考えることは政治の役割だと思います。
和歌山市の場合「元気70パス」という制度があります。これは高齢者が路線バスを利用する場合、和歌山市内であれば100円で乗車できるという制度です。この制度を使って百貨店でお買い物をしている人がありますし、病院に通院している人もいることを知っています。だから即答で否定することなく、課題として取り上げておくべき問題点だと思います。
訪問活動をしていて皆さんの意見を聴くことで、課題が認識できますし、小さな声を大切したいと改めて思います。何年経っても、皆さんと会うことで学ぶことがあります。