案内をいただいていた橘寮のイベントに参加しました。今回はライブイベントで施設長から「このライブはとても良いのでぜひ聴きに来て下さい」と案内をもらっていたので参加しました。
話の通り聴くことで元気がもらえるライブでした。通常、高齢者施設でのライブは馴染みのある演歌や唱歌が多いのですが、今日は曲の構成が大きく違っていました。
演奏曲を列記すると「スーパーマン」、「コンバットマーチ」、「ロッキーのテーマ」、そして「情熱大陸」などです。そこにオペラですから、斬新すぎて驚くと共に、ライブハウスのように一緒に楽しむことができました。
さらに驚くことに、これらの曲は全て入居者さんからのリクエストに基づいた演奏曲だと聞いたことです。奏者からも「リクエストが届いた時、びっくりしました。高齢者施設にお邪魔して演奏することは多々ありますが、こんな元気のよいリクエスト曲をもらったのは初めてです。リクエストがファックスで届いた時は本当に驚きました」と舞台で話していたように、ライブ会場のような曲の演奏にとても驚きました。
しかしこのリクエストの選曲は素晴らしかったです。これらの曲から元気をいただけたからです。演奏に迫力があり元気さを感じるアレンジをしていたからです。どの曲も素晴らしかったのですが、僕にとっては「ロッキーのテーマ」は大好きな曲なので懐かしく、そして元気と明日に向かうことの大切さを思い出させてくれました。
映画「ロッキー」を観たのは高校一年生、僕がまだ17歳の時のことです。当時は無名のシルベスター・スタローンがスターになり、アカデミー賞を受賞したのが「ロッキー」でした。
アメリカンドリームを実現した感動作がこの映画で、高校生だった僕は映画館で倒されても立ち上がるロッキーの姿に感動しました。今でも、これまで観た映画の中でナンバーワンだと思っています。これまで主人公ロッキーと「ロッキーのテーマ」にどれだけ励まされてきたことでしょうか。久しく聴いていなかったので、今日の演奏は本当に懐かしく元気をもらえました。
高く響き渡るトランペット、ファンファーレの音、躍動感のあるリズム、そしてクライマックスへと続く高鳴り。全てが新鮮で懐かしく感じます。
橘寮の入居者の皆さんも、それぞれの思いを抱いて聴いていたと思います。そうでなければリクエスト曲に「ロッキーのテーマ」が出てくることはないからです。
それにしてもこの曲の演奏に励まされました。ロッキーは逃げていた人生を変えるためにリングに上りましたが、「一体何のために戦ったのか」と思いました。今の人生を変えるため。大切な人のため。自分の可能性を信じるため。それら全てが戦う動機づけだったと思います。
逃げている人生からは何も得られるものはない。困難に、そしてチャンスを見つけて立ち向かうことが人生だと思ったから戦ったのです。この映画のインタビューでシルベスター・スタローンは「明日は今日より素晴らしい」とう言葉を残しています。この言葉は僕がずっと大切にしている言葉です。高校生だった僕が当時思ったように、今でもどんな時も「明日は今日より素晴らしい」と思っています。可能性に満ちている明日があることが素晴らしいことなのです。生きられる明日があるから素晴らしいのです。
17歳に戻ったような感覚があり、今を生きていることの幸せを感じました。今日のライブに案内をいただいたことに感謝しています。
帰り道、携帯電話の音楽で、「ロッキーのテーマ」を聴きながら運転したのは言うまでもありません。
母が毎週、水曜日に通っていた健康体操の施設にお邪魔しました。お礼の挨拶をするためです。施設長が迎えてくれたので「母がお世話になりました。ありがとうございました」と伝えると、「突然のご不幸、今でも信じられません。お母さんは誰にでも優しくて、思いやりのある人でした。友人の一人の人はショック受けて、あれから休んでいます」と話してくれました。やはり母はどんなところでも、誰に対しても優しい人だったのです。
丁度、母の友達のHさんが健康体操をやっていたので、こちらに近寄って来てくれました。「お母さんと一緒に通っていたのですよ。寂しいです」と話してくれました。今までも、今日も、母の友達から感謝の言葉を伝えてもらっていることは嬉しいことです。全ての人が母を優しくて思いやりがある人だと言ってくれることを誇りに思います。
帰り間際に施設長は「これからもいつでも立ち寄って下さい。応援していますから」と話してくれました。立ち寄れる場所があること。これは母が残してくれた財産だと思います。