昨日の近畿6府県議員交流フォーラムにおける室ア先生からの話を紹介します。
阪神淡路大震災以降、防災対策が減災対策へと変わっています。防災対策とは例えば高さ15メートルの津波が到来したことを受けて、堤防の高さを20メートルにするような対策です。堤防の嵩上げを図ることで安全性は確保できますが、自然は獰猛になっていることから20メートルの堤防を越波してくる可能性は否定できません。このように力任せの対策だけでは自然に対抗するには限界があり、そこにソフト対策が必要になっています。それが減災対策の考え方です。
地域防災計画に書き込むべき絶対に必要な項目があります。それは被害を受けた企業や地域を復興する時の観点として地域経済復興計画を考えておくことです。企業や地域が被害を受けた場合、行政が支援しなければ行政が考える復興をしたとしても企業が痛みを抱えたままの状態にあることや、地域から撤退してしまうと経済力は弱まります。企業の復興を強力に支援することは地域防災計画に書き込むべき重要な項目です。
もう一つが事前にすべき対策を地域の皆さんの意見を聞いてしっかりと書き込むことです。地域の皆さんに担ってもらうべき役割分担と行政の役割を明確にすることで、それぞれが責任を果たせるようにしておくことが大事です。
行政だけで地域防災計画を策定しても実際は機能しませんから、地域の方々に話を聞いて計画の中に織り込むことをして下さい。例えば地域にあるマンションを避難所にすることや、空き家を避難場所に指定しておくこと、また地域の中で住居を避難場所として指定しておく居宅避難の考え方などがあります。
高齢者の方は当該地域の避難所を知っていても、遠ければ逃げることは困難になります。そこで地域内にあるマンションや避難場所として使用できる空き家、そして近所にある居宅が避難場所になっていれば、避難行動を起こすことが可能となります。
またどんな場合も避難に際して車は使わないと決めるのではなく、高齢者が病気の人は車を使用できるように指定するなど、逃げる行為を起こせる環境整備を整えておくことも論点になります。
このように地域防災計画には臨機応変な避難計画を織り込む必要があります。
災害時はこれまで前例がないことや、法律上行政に責任がないことが発生します。そんな時、行政は「前例がない」だとか「責任はない」など逃げ口上をするのではなく人にやさしい対応をして欲しいと思います。支援の判断は法律や前例ではなく、現場を見ることや被災者の話を聞いて国に支援を求めるようにして欲しいと思います。困っている人がいれば助けること。これが行政の役割です。被災の実態を見て前例や法的根拠が乏しくても「支援します」と判断することが行政の責任だと思います。行政と住民の信頼関係を築くことがあるべき姿です。
その一つとして、兵庫県では防災対策として「フェニックス共済制度」があることを知らせてくれました。