国土交通省近畿地方整備局から、和歌山県内の道路の整備状況と紀の川における河川改修事業について説明を受けました。最新の情報を確認することができました。
第二阪和国道は、平成29年4月に全線開通しています。整備効果としては道路沿線で住宅開発がされ、沿線地域では人口が増加しているようです。また旧国道26号、現在の和歌山阪南線の交通量は50〜60パーセント減少するなど、第二阪和国道の整備効果が表れています。
京奈和自動車道は京都、奈良、和歌山県の拠点都市の連携強化を図る高規格幹線道路です。この京奈和自動車道の整備に関して、和歌山県全域40.4kmは全線開通、奈良県は五条北インターチェンジまでの区間が開通しています。平成30年度は奈良北インターチェンジから奈良インターチェンジまでの6.1kmの新規事業化を図っています。
沿線地域には新たに企業団地が伸展しているようです。これはアクセス性向上が新規立地につながっているものです。橋本市では「仮称、あやの台北部用地」の開発に向けた環境影響評価を手続中となっています。沿線には北勢田ハイテクパークと北勢田第二工業団地、紀北橋本エコヒルズの工業団地がありますが、これらの企業団地には企業進出が図られています。
また観光面においては、平成28年度から紀の川インターチェンジと岩出根来インターチェンジの開通に伴い、関西空港と高野山をダイレクトにリムジンバス路線が運行を開始しています。平成29年度の実績は対前年比160パーセントの伸びを見せています。
近畿自動車道紀勢線の南紀田辺とすさみ間が開通してから日帰り観光客が増加していることから、宿泊施設がリニューアルオープンしています。道路延伸に伴う好調な観光需要が宿泊施設開業を後押ししているようです。また沿線の熊野古道には外国人観光客が増加しています。これはイギリスの旅行ガイドブックの「ロンリープラネット」では「訪れたい地域」の第五位に選ばれていることから、更に外国人観光客の増加が期待できる状況になっています。
次に紀の川の河川整備については以下の通りです。紀の川の狭窄部は三か所あり河道幅が狭く土砂が堆積しやすいなど洪水の流下阻害の要因となっています。そのため平成23年の台風第12号や平成26年の台風第11号の時、この岩出狭窄部の上流の貴志川などで浸水被害が発生しています。そのためこの岩出狭窄部の河川改修を行っています。
この箇所の改修工事は平成28年度から事業着手しており、平成30年度は引き続き拡幅水路工事と河道掘削工事を施工しています。これらの整備が完了すると戦後最大の大降雨に対して約1メートルの水位低減効果が見込まれることになります。
南海トラフ巨大地震対策として、堤防や堰、樋門などの耐震対策と緊急河川道路の実施を基本としながら対応を行っています。
国土交通省では水防災意識社会再構築ビジョンを掲げ、全ての直轄河川と沿川市町村において平成32年度を目途に水防災意識社会を再構築する取り組みを行うことになっています。
これは洪水を安全に流すためのハード対策に加えて、氾濫が発生した場合でも被害を軽減する危機管理型ハード対策を導入し、平成32年度を目途に実施する計画です。またソフト対策として、住民自らがリスクを察知して主体的に避難できるよう、より実効性のある住民目線のソフト対策へ転換することにしているようです。
このソフト対策は、立ち退き避難が必要な家屋倒壊危機区域の公表、災害発生時に取るべき行動を分かりやすく示したハザードマップへの改良などを検討しているようです。洪水被害を防ぐために紀の川の河川改修を進めています。