活動報告・レポート
2018年10月16日(火)
長期金利

議会報告会で長期金利の話をしました。県政の話をする前にアメリカの長期金利を上昇させる記事があったことから、このことを解説したものです。

アメリカの長期金利が切り上げられたと報道がありました。その後、アメリカの株式市場では株価が下落したようです。長期金利と株価は、どのような関係になっているのでしょうか。一般的に長期金利が上昇すると株価は下落します。逆に長期金利が下落すると株価は上昇することになります。これが長期金利と株価の関係です。

長期金利が上昇すると、株式に投資するよりも株式で得られると予想する配当よりも金利が高ければ、貯蓄するための資金を得るために株式は売られるので株価は下落します。

また企業においては長期金利が高くなれば、金利負担が増えるため今すぐ必要としない設備投資などを見合わせることになります。企業の設備投資が減少すれば、業績は拡大しにくいことから売上は伸びません。そうすると当該企業の株価に影響を与えることになります。

このように長期金利が上昇すると株が売られる傾向になり、企業は投資を控えることになります。このことから一般的法則通りに、アメリカの長期金利の上昇によって株式市場は下落したのです。

逆の場合、つまり長期金利が下落すれば貯蓄よりも株式で期待できる配当の金額の方が高くなるため株式購入へと行動します。企業は長期金利が低下することで返済金額が減少することになるので、設備投資が活発になります。

つまり金融政策とは長期金利を操作することによって景気を調整することにあります。各国の中央銀行は長期金利を下げることで景気拡大を図ったり、景気が過熱傾向になれば金利を上げることでインフレを抑制しているのです。

日本以外の国ではインフレに向かうことを嫌いますので、景気が回復傾向になってくると過熱するのを防止するため金利操作をします。最近、アメリカに行っていないので現地の感触は分かりませんが、アメリカは景気が回復してきていると思います。そのため長期金利を上げてインフレを防止しようとして努めているのです。

一般的に世界的には経済対策はインフレ対策ともいえるので、景気が過熱する前に金利をあげて抑制しようとしています。但し、日本は世界で例を見ないデフレが続いていたので調整インフレの金融政策を実行しています。日本はバブルの過熱を強硬に抑制しようとして長期金利をあげたことから、当時の経済、即ちバブル経済を失速させてしまった歴史があります。そこからデフレ経済となり長い間、日本経済を覆ってきました。デフレから脱却する方法はありませんから、効果があると思われるインフレ目標を掲げて金融政策をしているのはそのためです。デフレに効く経済対策がないのは、資本主義社会においてデフレは亡霊だと思われていたからです。世界で深刻なデフレに陥った例はなく実在しないものだと思われていました。バブル経済以降の日本がデフレ経済になったことは、デフレが亡霊ではなく存在していることを世界に知らしめたものです。

そのため日本はインフレ目標を掲げて金融政策を実行していますが、世界ではインフレを抑制する経済対策が一般的です。

新聞の経済面を見て「長プラ切り上げ」という見出しがあれば株価は下落する傾向に向かうと予想できますし、「長プラの切り下げ」という見出しがあれば、株価は上昇に向かうと予想できます。金融政策の簡単な知識があれば、経済の動向を見ることに役立ちます。

このように経済の知識があると社会が見えてきます。