Fプロジェクト主催の秋のコンサート「Just move on」に参加しました。場所は鷺森別院岡崎支坊で、春と秋の二度、ここでコンサートを開催しています。お寺でのコンサートはミスマッチでとても良い雰囲気になります。今日は初めての企画として落語があり、続いて恐らくFプロジェクトによるミュージカルソング、最後は相愛大学卒業生によるクラシックの演奏があり、息をつかせないコンサートとなりました。
さてコンサートに際して岡崎支坊の住職さんから話があり、とても良い卓話を聞かせてもらいました。
如来様は仏様の姿を借りて私たちが見ることができます。では如来様とは何者かと尋ねると、大宇宙の自然エネルギーだということです。大宇宙の自然エネルギーが人間を見守ってくれているのです。自然は人に恵みを与えてくれているものですが、時には自然は人に脅威をもたらしています。台風もそうですが、それは決して不利益を与えるものではなくて、人がそれを乗り越えて、今よりも良い社会を築くために必要な知恵を授けてくれていると思うと良いのです。
台風の直接的な被害に対して直ぐに感謝の気持ちは言い表せないと思いますが、自然の恵みに対しては「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるべきです。感謝の気持ちを届けることが自然の恵みをいただいて生きているものとして当然のことだからです。
だから感謝の気持ちを届けることのできない人は、大宇宙の自然エネルギーの恩恵に預かることはできません。
では動植物はどのようにして自然に感謝の気持ちを届けているのでしょうか。それは美しい姿を見せることで感謝の気持ちを届けています。春に桜が花を咲かせること、風雪に耐える松の木など、動植物は話をすることができませんから、美しい姿を見せることによって生かしてくれている大宇宙の自然エネルギーに感謝しているのです。美しい姿は「ありがとう」と同じ意味を伝えているのです。そして、如来様が美しいと感じるものを人が美しいと感じるのは当たり前のことなのです。
さてコンサートは演奏者が美しさを奏でてくれるものです。美しい姿を演奏者は見せてくれているので、聴く人も美しい姿で聴いて欲しいのです。美しいものを届けてくれている時は、届けられる側も美しい姿で受け取るべきなのです。今日は美しい姿で音楽を聴いて欲しいと思います。
住職さんの話を僕なりに拡大解釈して記しました。人も美しいものを届けることが生きることであり、受け取る立場にある時も美しい姿で受け取りたいものです。それが自然界で生きているということです。
さて今回のコンサートは、テーマにある通り秋に動くことを勧めてくれるものでした。ミュージカル音楽は明日に向かって進む勇気を与えてくれました。大河ドラマのテーマソングは主人公の激しい生き様を表現してくれました。歴史上の人物が社会で何かを成し得たのだから後に続く人も「やればできる」ことを伝えてくれました。そしてクラシック音楽は、その時代にあった困難を乗り越えるために必要だった優しさと自然に感謝する心を伝えてくれました。
今日のコンサートの演奏は、私達に生きるために大切なことを伝えてくれました。秋は命に限りがあることをそっと知らせてくれる季節です。限りがある命を全力で生きることを教えてくれるのが秋ですが、普段の生活ではそれを感じることはできません。今日のコンサートはそんな秋の役割を教えてくれたようです。感性を研ぎ澄ませて聴くと、そんな秋の姿が浮かんできました。
秋は時に限りがあることを知らせてくれますから、その場に留まっていないで動くことで、限りある時間を輝かせることができる。そんなメッセージを伝えてくれました。
感謝の気持ちを伝えます。ありがとうございます。
和歌の浦で万葉薪能が開催されました。今回で20回目を迎えるこの催しはもうすっかり定着し、秋の和歌の浦の風物詩になっています。屋外会場は1300人を超える大盛況となり、文化的な秋の時間を楽しみました。和歌山市で文化の香りを味わえる大切な催しが「万葉薪能」だと思います。今回も入場門において、座布団の配布のお手伝いをさせていただきました。
さてステージは、和歌山市民会館においてワークショップで能を習っている子ども達が出演し、「万葉薪能の会」が文化的な人材を育てていることを知らせてくれました。人を育てることはもっとも価値の高い活動の一つであり、子ども達に文化を体験してもらい発表する場を提供しているこの活動は高い価値を持っていることを証明してくれました。 続いて能と狂言の舞台がありました。和歌の浦の屋外の舞台で極めて文化的な能と狂言を実施していることは和歌山市の誇りであり、全国に誇れるものだと思います。
しかも「万葉薪能」が評価されたからだと思いますが、今日の狂言の舞台は野村萬斎が演じてくれました。これは凄いことです。万葉の地である和歌の浦で野村萬斎の狂言を鑑賞できる機会があるとは何と贅沢な時間が存在しているのでしょうか。他の府県では決して実現しないものだと思います。
このような文化を楽しむ機会に預かれる和歌山市は、今後とも文化性の高い都市を目指したいと思います。
野村萬斎に来てもらえるだけの素晴らしい屋外の舞台がある。そのことを誇りにしたいと思います。そして20回目を迎えた「万葉薪能」の企画をしてくれている会の皆さんの活動は凄いと思います。それは間違いなく、和歌山市の文化活動のレベルを上げてくれているからです。文化を定着させるのは、一回や二回の取り組みでは決してできるものではありません。10回、15回そして20回と続けてきたことで、文化の定着が見込まれる段階に入っているのです。長い年月と企画内容、そして主催者の熱意が、文化度を高めてくれる要素になります。和歌山県の文化を高めてくれている「万葉薪能の会」の活動に敬意を表し、文化性の高い和歌山県を築いてくれていることを、全国の方々に知らせたいと思います。