台風第21号で被害を受けた和歌山県雑賀崎工業団地の復旧状況を確認するため現地工場を訪れました。工場は順次復旧を果たし、既に稼働している製造ラインもあり「できるところから稼働させています」と社長から話を伺いました。
ところが「心配なことがあります」と話の展開がありました。それは「台風第24号が本州を縦断し和歌山市にも影響を与えそうな進路を取っていることです。もし台風第24号が到来すれば、この工業団地にも多大な影響を及ぼすと考えられます。只でさえ、先の台風被害からの復旧を目指しているところなのに、再び被害を受けたら更に大きな打撃となります」という話でした。
この日、会社内にメーカーからの社員の応援と今後の復旧と将来の安全確保について話し合いが持たれていたところでした。メーカーからは「今回の台風第21号で被害を受けた分は自然災害への備えの教訓になったと考えています。そのため部材の供給が遅延したとしても問題視するつもりはありません。しかし来週到来が予想されている台風第24号への備えは考えて下さい。また将来予想できる台風被害への対応と、南海トラフ巨大地震が発生した場合の工業団地の安全確保については早急に報告をして下さい」と伝えられたようです。
来週の台風第24号に備えての対策は、会社、工場の入り口に土嚢を配備して浸水を防ぐことにしています。社長は土木会社に要請を行い、「週末に土嚢を配備するようにしました。会社内、工場内の浸水を防ぐために対策しています。工場内の材料は浸水しないように嵩上げをしています。工作機械の浸水対策は短時間なので難しいので現時点では嵩上げはできません」と自社でできる対策を話してくれました。
自社で台風からの防衛を考えて対策しています。ところが問題となるのが工業団地そのものの防災対策です。今回、工業団地を護る護岸の一部崩壊によって海水が工業団地内に浸水していますが、その箇所が復旧できていないことから「台風第24号の影響で高波が発生すれば、小さな波でも浸水してしまう恐れがあります」という危惧があるのです。
メーカーからすれば「自社でできる対策は勿論のこと、和歌山県にも工業団地全体の安全対策を検討してもらって下さい」という話になります。
取引関係にあるメーカーと会社との関係を考えると理解できる要求です。台風が相手だとしても、台風到来の都度、工場が浸水して部材の供給が止まるようなら、将来の取引のあり方を考え直すことも考えられます。今回の場合、時間が短いため土嚢を配備するなど最低限の自社防衛は施しますが、工業団地全体の防衛は図れないまま台風第24号を迎えることになります。和歌山市に到来した時の台風の規模は現段階では不明ですが、その危険性を考えると不安感が広がります。「今度もまた海水が浸水すれば工場の復旧は更に長引く」ことと「将来の取引が不安に晒される」、そして「復旧のための資金が膨れ上がるので更に資金繰りが厳しくなる」などの不安です。
今日の話し合いの結果を和歌山県の所管箇所に伝え、対応の検討を依頼したところですが、県は雑賀崎に立地してくれている企業を全力で護って欲しいと考えています。企業の皆さんは「この場所で安心して稼働できる環境を整えて欲しい」という要望と「海に面した場所なので和歌山県が対策を講じてくれないことには将来不安が解消されないままの日々が続くことになり、メーカーへの説明責任を果たせない」ことへの不安が先立っています。
現在あるメーカーとの取引関係が継続されることが企業活動の前提であり、それが崩れてしまうと企業活動ができなくなる恐れがあるのです。絶対に回避しなければならないことであり、県の対応が急がれています。
メーカーとの取引関係を維持するためにすべきことは、今回の県議会一般質問で取り上げています。立地してくれている企業と和歌山県との関係を信頼関係で結びたいと考えていますから、台風そして南海トラフに対しても安全性を説明できるだけの改良復旧を求めています。