外交史料館で開催中の「明治の日本外交」展に行った感想を聞かせてもらいました。明治政府が諸外国との国交樹立や不平等条約の改正などの外交課題に取り組んだ歴史を知ることができる展示が多数あり、「歴史で学んだことの条約の本物がここにあることに感動しました」などの感想を聞かせてもらいました。
中でも明治22年の「日墨修好通商条約」の批准書の本物が展示されていたことに感動したと話してくれました。これは当時の陸奥宗光駐米公使とロメロ駐米メキシコ公使との間で調印された批准書で、表紙にあるイーグルの紋章にはメキシコの銀が使用されていることを知りました。メキシコは銀の産地ですから、批准書に大切な銀を使用することで、日本に対して対等な国としての敬意を示してくれているように感じます。
この条約の歴史的意義は「日本の法律に従うことを条件に、メキシコ人の内地雑居を認めた相互対等の条約であり、欧米諸国との条約改正を目指す日本にとって重要な先例になったこと」です。
続いて「日英通商航海条約」の批准書も展示されていたことを伝えてくれました。これは領事裁判権の撤廃という歴史的偉業の批准書で、「日本の近代化が欧米諸国に承認されたことを意味するもので、このことにより国際的地位は大きく向上」したことを意味しています。わが国はこの条約により、領事裁判権の撤廃と関税自主権の一部回復を達成することになりました。明治27年の歴史的出来事です。
ここで富塚一彦「日本外交文書」編纂室長から「和歌山県庁の方が来訪され、県議会で『日本の明治外交』展を和歌山県で開催したいという申し出をいただきまして、来年の秋の10月から11月にかけて陸奥宗光外務大臣を中心とした『日本の明治外交』展を和歌山県で開催することをすすめています。ぜひ、楽しみにしていて下さい」という説明をしていただいたので僕を訪ねてくれたのです。
「外交史料展の和歌山県での開催は是非とも実現させて下さい」と強い願いをいただきました。歴史的意味のある本物の批准書に和歌山県で接することができることは、和歌山県にとっては歴史的な出来事になると考えています。「日墨修好通商条約」の批准書、「日英通商航海条約」の批准書は歴史的な価値があり、本物に和歌山県にいながら接することができるからです。
本物に触れられるこのような機会は二度とないと思いますし、来年度には何としても実現させたい企画です。幸い、外交史料館の協力も得られていることから、和歌山県の本気度が試される段階に来ています。
どんなものにも本物が持つ重みや輝きというものがあります。歴史的意味のある批准書の本物を見るだけでも震えが来そうです。歴史を学び、歴史の中の本物に接する機会を和歌山県内の高校生や中学生に提供したいと考えます。きっと年号を覚えるような歴史と違い、生きた歴史に触れることで本物の歴史の重さ、関わる人の責任を学ぶことになると思います。
「歴史を知ることで今日がある。歴史と今日を知ることで未来がある」。こんな言葉を聞かせてもらいましたが、歴史を知ることで未来を読むことが可能となります。歴史は単発的な出来事で綴られているものではなく、人と人が有機的につながっているものだからです。
歴史を知ることで未来を志向できる。学生の皆さんには、このことに気づいて欲しいと願っています。そんな視点を養う大切な機会となりますから、和歌山県での「外交史料展」の開催を期待しています。
「外交史料館」の冨塚さんは熱い人ですし、和歌山県から「外交史料展」に行った皆さんも熱い人達です。この思いを大事にしたいと考えています。
今秋に開催を計画している「感謝のつどい」の打ち合わせを行いました。後一か月ありますが、準備の進捗状況と進め方について確認を行いました。