活動報告・レポート
2018年9月7日(金)
台風21号被害
台風21号被害

和歌山県を襲った台風21号の被害が発生した地域の中には、大変な状況になっているところがあります。和歌山県雑賀崎工業団地は高波の影響で団地内に海水の浸水があり、工場はひどい状況になっています。工場内への海水侵入によって工作機器の補修、点検が必要となり、稼働まで時間を要する会社や、完成した製品が海水に浸かったため納品できなくなっている会社、原材料が浸かったため使用できなくなった会社など、多大の被害を受けています。

現場には想像できない現実があり、「こんな被害は初めてです。思ってもいない状況です」。という言葉だけが交わされました。会社によって津波被害に遭遇したような状況になっているところがあり「信じられない」現場がありました。高波が堤防を破壊し敷地内に侵入し、会社、工場を襲っています。押し寄せる波が会社の一階部分を突き抜けているのです。現場は窓ガラスや壁が流されてしまい鉄筋の柱だけが残っていました。二階部分は残っていますが一階はすべて流されているため空洞の状況となっています。

台風21号被害

高波が押し寄せた当日の様子を動画で拝見したところ、玄関ドアから波が押し寄せて会社内に侵入し、あっという間にそこにあるものを流していった様子が残されています。波の早さや侵入の様子は、東日本大震災の時の津波と同じのように感じました。「こんな高波が発生していたのか」と信じられない思いがありました。

会社から外に出て堤防まで歩きました。すると堤防の一部が決壊していたので、その部分から波が敷地内に流入したのです。決壊した堤防は「鉄筋が組み込まれている構造ではなく、コンクリートの重みで自ら支えている構造になっています」というものでした。

台風21号被害

また堤防を歩いて確認したところ高さが低い、後で建設された堤防があり、その堤防の一部が決壊して津波に襲われたような大変な状況になっていました。「高波でこんな被害が起きているなんて信じられない」と思いました。

また別の会社を訪問したところ工場内に海水が侵入していました。工場内に海水が浸入し床面は土が入り、工作機械は海水に浸かった跡がありました。機械類は海水に浸かると乾かしてもそのまま動かすことはできませんから、点検、必要に応じて補修を行ってから作動させる必要があります。点検と補修をするのに相当の期間を要するため、製造に着手できないのです。休業している間は売り上げが見込めなくなり、また受注している製品の納期が守れなくなることから、災害後の対応に苦慮することになります。

台風21号被害

工場内への海水侵入による被害の場合、火災保険が適用されないことを聞きました。直接の台風被害ではないため適用外なので、これら機器類の点検と補修費用を支出することになります。売り上げが落ち、経費の支出が増えることから経営的に大きな問題となります。国や県から災害から復旧するための支援の必要があると考えています。

また地球温暖化の影響により、今回のような大型台風は来年以降も到来すると予想できますから、この工業団地の台風や高波被害を防ぎ、安全性を確保するため抜本的な対策を講じる必要があります。元の高さで堤防を復旧するのではなくかさ上げをすることや、海側の堤防と陸側の堤防を強化し、越波排水路が機能するような構造も検討すべきことです。

和歌山県が工業団地を造成し企業誘致を行っている雑賀崎工業団地ですから、安心して稼働できる環境整備はすべきことです。台風や高波対策を実施しておかなければ、新規立地は見込めなくなりますし、工場立地に瑕疵ある土地を販売することはできません。

台風21号被害

何よりも、和歌山県としては雑賀崎工業団地に既に進出してくれている会社を大事にしたいと思います。ここに進出してくれた会社を大事に守ることが企業立地を行っている和歌山県の責務だと思います。

台風や高波を防ぐ防災の観点と、安心して稼働できる工業団地であるために必要な対策を実施するよう提言していきます。