活動報告・レポート
2018年8月29日(水)
高知県内視察
坂本龍馬記念館

午前は坂本龍馬記念館を訪ねました。明治維新150年の今年、この場所を訪れることができたことに感動しています。新国家を築いてくれた偉人の一人であり、流星のように幕末を駆け抜けた坂本龍馬の生涯を短時間で見ることができたからです。記念館は今年リニューアルオープンをしたので、絶好のタイミングで訪れることができました。

坂本龍馬記念館 坂本龍馬記念館

今更なので龍馬について触れることはしませんが、高知県の皆さんにとって龍馬は特別の存在だと感じました。龍馬について話し合ったところ、客観的に龍馬を捉えている高知県の方でしたが「龍馬がいなければ明治維新はできなかったと思います。薩長同盟から大政奉還へつなぐ出来事は龍馬がやって退けたことだと思います」と話してくれました。

坂本龍馬記念館

今では想像できませんが、長州と薩摩の仲の悪さは相当だったようで、どちらからも信頼されている人物という仲介役の登場は不可欠でした。つなぐ役割の人の重要性は言うまでもなく、仲介役がいなければ多くの歴史は変わっていたと思うほどです。

当時、外国との戦争経験があったのは長州と薩摩だけでしたから、その戦った経験を内輪で争ってお互いに傷むようなことをしている状況ではありませんでした。二つの藩が協力して列強からわが国を守る必要があったのです。でも仲の悪い二人が仲介役なしに仲良くなることはありません。優れた仲介役の登場が必要で、しかもこの人に任せても良いと思えるような信頼が必要なのです。龍馬は藩と藩、人と人をつなげる優れた仲介役で、間違いなく日本を洗濯した人物なのです。

坂本龍馬記念館

高知県の人は「司馬遼太郎の『竜馬がゆく』で無名の青年が突然現れ去っていったことに感動をした」と語ってくれ、続けて「最近『龍馬がゆく』をまた買いました」と話してくれたように読み返しているようです。同じ小説を再び買って読み直しているのですが、「やはり感動します」という話です。

さて記念館では龍馬の手紙に感動しましたし、屋上から見た桂浜の景色と海の音に心が傾いていきました。龍馬が書いた手紙がここにあることも不思議ですし、龍馬が見た光景がここにあることも不思議でした。列強に飲み込まれそうになっていた日本を救うために脱藩して活躍した龍馬。脱藩した時は、大政奉還も明治維新も頭の中になかったと思います。どんな展開になるか分からないまま荒海に乗り込んだ龍馬は、やはり凄い人物です。結果から見ると物語として読めますが、歴史の真っただ中にいると成功物語だと思えることもありません。自分が役割を果たすことによって迎える新しい明日を信じて行動していたことに感動するばかりです。

桂浜の景色と海 桂浜の景色と海

リアル龍馬とキャラクター龍馬に出合い、勇気と行動力をいっぱいもらえました。この記念館は龍馬と対話できる素晴らしい場所だと思います。

次世代型農業

続いて次世代型農業を実践している四万十トマト工場を訪ねたところ、社長自ら説明と工場の案内をしてくれました。ここはトマト栽培のイメージが一変してしまう巨大な工場でした。

トマトの温室の高さは6メートルで、これは日本で珍しいオランダ型の温室です。生産性を高めるために適した大きさで、このシステムを導入したい農家はたくさんありますが、導入できているところは少ないようです。

四万十トマト工場 四万十トマト工場

未来の農業がここに存在しています。高知県の野菜の生産性は全国トップレベルですが、更に上を目指していることが分かるものでした。

黒潮町役場視察

最終は黒潮町役場を訪ねました。南海トラフの巨大地震による津波の影響を最も受けるのが黒潮町です。その高さは34.4メートルですから対策のとり方がないと思っていましたが、対策が講じられていることに驚きました。34.4メートルの津波が襲ってくるのは一部の地域なので、その地域には十分な対策を講じておき、町全体では自主防災組織に応じた対策を講じているところです。

黒潮町役場視察

対策の取りようがないと考えるのではなく、全世帯に安全対策を実施する、と考えた対策を検討し、実施し始めていることは凄いことです。

南海トラフ巨大地震による津波高日本一が想定されている黒潮町が、犠牲者ゼロを目指す対策は次の通りです。

  • 職員地域担当制を敷いていることです。全職員が通常業務に加え防災業務を兼務する体制を整えています。
  • 避難空間を整備しています。ワークショップで提案された避難道を整備し、約230か所の整備を進めています。平成28年度末で90パーセントの整備を完了させています。
  • 戸別津波避難カルテを作成して共有しています。津波浸水が予測される地域の全世帯の避難行動計画調査を終えています。
  • 地区防災計画の策定を進めています。町民自らが地区防災計画策定に関わることで、我がこととして感じられる防災計画として仕上げています。
  • 木造住宅耐震化の促進を図っています。
  • 応急期機能配置計画を策定しています。応急期において必要となる機能を事前に町内施設などに配置しておく計画です。
  • 避難所運営マニュアルを作成しています。
  • 告知放送端末機を全世帯に設置しています。緊急時に災害発生情報を町から一斉に配信します。また臨時エフエム局を町内に開設し、放送により情報提供を行います。この対策予算は18億円です。
  • 黒潮町備蓄計画を作成し一日分の備蓄を進めています。また個人として三日分の食料備蓄をお願いしています。
  • 防災教育プログラムを作成し、子ども達の教育に努めています。これが防災文化として定着するよう取り組んでいます。
  • 防災訓練を実施しています。災害発生時の行動は訓練以上のことはできません。訓練への参加と様々な想定をした訓練を行っています。

僕からは次の点について質疑を交わしました。

  • 自主防災組織で避難所運営を行うことにしていますが、リーダーとして防災士の登用を図ることで、スムーズで的確な運営ができることについて。
  • 全世帯にラジオを配布していることから、コミュニティエフエムの活用が必要になることについて。
  • 高知県では多くの防災用品を開発していますが、そんな企業との連携と避難所への備え付けについて。

黒潮町の防災対策の取り組みは、とても学びになる研修会となりました。