活動報告・レポート
2018年8月28日(火)
高知県視察
高知県視察
高知県視察

今日から三日間、高知県と徳島県の視察に向かいます。初日の今日は高知県庁と高知大学を訪問しました。高知県では高知県の農業政策と高知県のイメージ戦略である高知家の取り組みについて視察を行いました。高知大学では「食で稼げる人になる」ことを目指した土佐フードビジネスクリエーター人材創出事業について視察を行いました。

まず高知県の農協振興で、農業先進地であるオランダのシステムを導入した取り組み内容を聞かせてもらいました。高知県は野菜の産地であり日本一の出荷量と収穫量を誇っています。ただ日本一だと言ってもオランダの出荷量には敵わないので1999年からオランダに学ぶことで収穫量と出荷量を増やすことを目指した取り組みを実施しています。

そのためにオランダのウェストラント市との友好園芸農業協定を締結しています。高知県の尾ア知事が締結に取り組んでいますが、締結に至るまでの苦労を聞かせてもらいました。オランダは合理的な国なので、高知県が同市に何を提供できるのかを示す必要があったそうです。先方から締結した相手に与えるだけでは協定は成立しないので、どちらも利益を得られる関係を築く必要があったのです。

高知県視察

この締結が後にオランダに利益もたらすことにつながるのですが、この時は知る由もなかったようです。後の利益とは、日本がオランダに習って次世代施設園芸拠点を全国で10か所選定した時に、そのシステムがオランダの技術を必要としたことから、同国の企業からの支援を求めることになったことです。高知県がオランダウェストラント市と締結したことで高知県が次世代施設の取り組みを行い、日本がその優位性に気付いたことから全国に拡大したことが要因です。

このように高知県では次世代型農業拠点を設けて、農業への企業参入や農家の収益改善のための取り組みを行っています。農家の収益をあげるためには生産性を向上させる必要があります。オランダの生産性は高知県でさえ比較にならないほど突出しているので、同国の技術力を学び展開することが必要となります。一早く導入しているのが高知県なのです。

高知県視察

高知県がオランダ農業を導入できた理由があります。高知県の職員さんがオランダで学んだことを生産農家に伝え農家の皆さんに直接、オランダ式農業を見てもらったことが要因です。視察に行った農家の人達は刺激を受け、「このままでは農業で生きていけない」と感じ、オランダ型農業の導入を決めたそうです。

担当職員さんから「意識を変えるために一番効果があるのは、先進地に行ってもらい直接、現場を見てもらうこと、直接、話を聞くことです」と話してくれましたが、現地視察が意識改革のために刺激になり、一番改善意欲を高めることになるのです。

オランダを視察した農家の人達は、帰国直後から生産方針をオランダ型に変革することを求め、実行していっています。その結果、それまででも高知県の農産物の生産量はわが国でトップだったのですが、更に飛躍的に増加しています。

高知県視察

感銘を受けて自分たちで「やらなければ」と思うことで意識が変わり行動につながり、結果が違ったものになります。視察に行っても「先進地と同じことをするのは無理だ」と思ったら、何も変えることはできないのです。オランダ農業を視察した高知県の農家の皆さんは 「変えなくては生き残れない」と刺激を受け、自らの農園の改革を行ったのです。

今ではオランダ方式ではなく、高知方式の環境保全農業に取り組むまでに至っています。独自の技術を得た高知県の農業力はさらに向上しています。

次世代型農業について高知県から学びました。

高知県の飲食費

ところで高知県の飲食費は東京を抑えて全国一位となっています。その質問をしたところ「高知県の県民性」だと答えが返ってきました。高知県には飲む文化があり、飲むことでコミュニケーションを図っていると教えてもらいました。

それを示す話を教えてもらいました。四国にはこんな話が伝わっているようです。「一万円を拾った場合、どんな行動をしますか」という質問を四国四県にしたそうです。答えは次の通りです。

  • 徳島県は商売をする。
  • 香川県は貯金をする。
  • 愛媛県は半分貯金で、半分使う。
  • 高知県は一万円を足して飲み代に使う。

四国四県の県民性を表しています。色々な推測がなされていますが、高知県の飲食費が高いのは、この県民性に尽きるようです。

ところで高知県が展開している「高知家」の取り組みは高知県のイメージ向上による高知県への移住と観光客の誘客を目指すことにあります。高知家によって高知県のイメージは向上していると思います。高知家の取り組みは平成30年度で6年目を迎えていますが、高知家ブランドを更に浸透させるため継続した取り組みをするようです。

高知大学視察

高知大学ではフードビジネスについて学びました。生鮮品を加工品にすることで10倍の価格がつけられることから、生鮮品の出荷と共に高知県内で加工品にすることで農家の収益を高めようとしています。

高知県は加工品が少ないことが弱みでしたが、それを伸びしろと捉えて加工品づくりに取り組んでいます。その知識と技術を教えているのが高知大学で、土佐フードビジネスクリエーターなのです。

大学が学生以外の人材養成をしている取り組みは珍しいことで、全国でも例がないそうです。大学がビジネスの機会を創り出していることは、わが国では珍しいことだと思います。高知県の先進的な取り組みを学ぶことができました。