六ヶ所村にある原子燃料サイクル施設の見学を行いました。六ヶ所村のこの施設を見学する機会は得難いもので、とても貴重な学習の経験となりました。この施設に再処理工場と高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターがあり、現在、MOX燃料工場建設中となっています。
この施設の敷地面積は関西空港と同規模の広大な広さがあり、敷地内にわが国の原子燃料サイクルに関する機能を有する施設が、稼働または建設されているところです。原子燃料の平和利用のために他に代替施設がない重要な施設となっています。
ところで原子燃料サイクルとは使用済みのウラン燃料から使えるウランとプルトニウムを取り出してMOX燃料として再利用するサイクルのことで、国内で再処理技術を確立するとのことです。このサイクルの中には放射性廃棄物を処理、貯蔵と管理することまでの工程を確立することも重要なものになっています。
国が原子燃料サイクルを推進しているのは、わが国のエネルギー自給率が6パーセントに過ぎないからです。エネルギーの94パーセントが輸入に頼っているため、世界情勢不安や産油国の政情が不安定になると、わが国の経済活動はたちまち停滞してしまいます。そのリスクを極力回避するためにも純国産エネルギーとも言われている原子燃料サイクルを必要としているのです。
国策として重要な施設が六ヶ所村にあるこれらの施設なのです。関西から六ヶ所村の見学に行く機会を持つことは余りないので、繰り返しますが今回の見学の機会は貴重なものとなりました。
ところで下北半島にはエネルギー関連施設がたくさん立地しています。日本原燃株式会社の原子燃料サイクル施設の他、東北電力の東通原子力発電所、リサイクル燃料貯蔵株式会社、電源開発株式会社の大間原子力発電所など、他の地域にはない重要な施設が立地しています。
六ヶ所村も立地する当時は反対運動があったようですが、最終的には地元理解を得て現在に至る施設が立地するようになっています。その理由は「地元の皆さんとの信頼関係を築けているからです。地元と事業者との強い信頼関係があることが立地できた理由であり、継続して稼働できている理由です」と話してくれたように、どんな事業でも地元から信頼されることと地元との共生が不可欠だと言えます。
ただし地元理解を得ることは簡単ではありません。地味ですが地元と事業者との人間としての信頼関係を築く必要があります。そのためには会って会話を交わす関係になることです。携帯電話で何でも話ができる関係になること、もっと言えば無理を言える関係、無理を頼まれる関係になることが信頼関係だと言えます。
信頼関係が構築できてから事業の説明へと発展していくのです。六ヶ所村では立地が困難とされている原子燃料サイクル関連施設が立地できています。説明者によると「産業廃棄物でも反対運動が起こります。原子燃料サイクル施設の立地は、それよりももっと地元からの理解が必要で、地元との信頼関係が必要となります」ということです。事業は信頼から始まり信頼関係が継続していることで事業継続が図れるのです。
この信頼関係が事業の基礎となっていることは直接、関係者に聞かなければ、その空気感が分かりません。関係者から話を聞いて現場に入ることが空気を感じることであり、現状を知ることなのです。どんな課題であってもその課題の解決を図ろうとする人にとって一度は現場に行くことが必要です。現場に行かないで課題の認識もできませんし、解決のための提言をすることもできません。
現場の空気を感じることは、課題解決のために必要不可欠なことなのです。