活動報告・レポート
2018年7月17日(火)
アディクションセミナー
アディクションセミナー

和歌山ダルク主催の「アディクションセミナー」に参加しました。和歌山ダルク主催で薬物乱用防止のためのセミナー開催は始めてのことです。主催者を代表して島田ゆかさんは、このセミナー開催に当たっての心情を話してくれました。

「自分の生き方を点検した」と話してくれました。入居している人達に誠実で丁寧に向かい合えているかを心の中で点検したそうです。回復プログラムが有効に機能しているかどうかなど再確認を行い、自信を深めセミナー開催に至っています。

和歌山ダルクのもう一つの目的が、回復のためリーダーを育成することだそうです。薬物依存症の人が回復プログラムによって薬物依存から回復し、自らの薬物乱用の体験と克服した体験をもとに、回復リーダーとして活躍してくれる人を育成することを目指していると話してくれました。それは和歌山県が回復するための支援が少ない県だと感じることから来ているようです。

アディクションセミナー

そのためには回復プログラムを継続して実施することや、今回のようなセミナーを実施し続けることが必要です。多くの人に薬物依存症からの回復について関心を持ってもらうことで支援が広がります。アディクションセミナーを和歌山県で開催したことは大きな一歩であり、意味のあることだと考えています。

このことに関して久保弁護士は、「和歌山県が薬物依存症のセミナーをお手伝いしてくれるなんて少し前なら考えられなかったことです。それだけ活動が認識され正しい回復プログラムの必要性を理解してくれていることだと思います」と話したように、時代と共に薬物依存症は回復可能な症状だと認識されているのです。

また横浜市から来てくれた城間勇さんは「木が枯れたので元の位置に苗木を植えても、また枯れるだけです。木が枯れたら森全体を見て原因を探り当てなければ苗木は育ちません。新しい木を育成するためには森の回復が必要なように、薬物などの依存症は取り巻く環境を回復させることが必要です」と話してくれました。

アディクションセミナー アディクションセミナー

そして和歌山ダルクの池谷大輔さんは、自らの薬物依存症から回復した体験談を伝えてくれました。薬物に染まると自分の夢は実現できなくなるので、生きるために脱却の必要性を訴えてくれました。これまで三度、自殺をしようと思い、その行為に至ったことも話してくれました。現在は回復しているので育成リーダーとして回復プログラムを必要としている人に施しています。

そして和歌山ダルク利用者の話に感動しました。一人の方の話です。

この人は14歳で麻薬を始め、そこから22年間薬物を行っていたそうです。薬物を始めたきっかけは「格好がいいから」だそうです。ところが一度始めると止められなくなり、22年間も続けたことになります。その間の人生は次の通りです。

  • 16歳で鑑別所に入ります。
  • 17歳で少年院に入ります。
  • 21歳の時、覚せい剤使用で逮捕されます。
  • 23歳の時にも覚せい剤で逮捕、実刑を言い渡され6年半刑務所暮らしをします。
  • 29歳の時にも覚せい剤で再び逮捕されます。この時に担当してくれた弁護士が和歌山ダルクを紹介してくれたので、保釈後、和歌山ダルクの施設に入居することになりました。
    これが人生の転機となりました。31歳の時に子どもが生まれ、子どものために薬物は止めなければと思い、回復プログラムを受けています。

今は「和歌山ダルクに来てよかった。もし来ていなかったら母親になれなかったと思います」と話してくれました。現在は「感情ノート」を毎日書いて、自分の心と向き合っています。怒りや不安を書き出し回復リーダーがチェックしてくれるので、安心感があるようです。

そして「子どもと仲間、スタッフがいるので、今の生活は幸せだと思っています」と話してくれました。「幸せを手に入れるため回復を手にしたいと思っています」。こんな話が心に染み入ります。

アディクションセミナー

このセミナーの後援者の一人として関わりましたが、和歌山県内で実施したことを嬉しく感じています。薬物依存症からの回復は簡単ではありませんが、回復することができることを確信できたからです。そして現在も回復のために懸命に自分と闘っている入居者の話は心に届きました。後援者として受付など担当してくれた関西電力労働組合、和歌山ゴールドライオンズクラブの皆さんにも深く感謝申し上げます。