活動報告・レポート
2018年6月24日(日)
関労学校での講義
関労学校での講義

今年で28回目を迎えている伝統ある関労学校で受講生の皆さんに講義を担当させてもらいました。講師依頼をいただいてから今日の日を迎えることをとても楽しみにしていました。受講生は若い執行役員の皆さんで、これからの社会を担う人材の皆さんです。今年1月から開講しているので既に4回の講義を受講し役員としての知識を深めています。6月の今回は5回目の講座となるので、「一つでも良いから受講生に何かを伝えよう」と思って講義を行ったものです。

そのため講義の構成は三部構成としました。

1.民主主義の基本とそれに基づく議員の果たすべき役割について。

2.県議会で提言する政策や提言と実現に向けた活動について。

3.自分の意見から伝えたい、選ばれて役員をすることの意味について。

以上の三本立てで90分の講義を担当させてもらいました。講義内容の一部を以下に記載します。

役員を引き受けたからには存在しているだけではなく、選んでくれた人のため、組織のため、社会のために役立つ活動を心掛けること。

役員になっても、いつか役員任期を終える時を迎えます。それは2年後かも知れませんし10年後かも知れません。役員の最後の日を迎える時、きっと「もっとやっておけば良かった」と思うはずです。誰でもその役割の最後の日を迎える時は「やりたいことをもっとやれたはず」、「やれる立場にいる時にやっておけば良かった」など思うものです。

好んで役員を引き受けていないとしても役員を引き受けた限りは、その期間は全力で活動すべきです。役員はやれる立場を与えてもらっているので、その権限を使って全体の幸せのために活動をして欲しいと思います。

皆さんもこれまで経験があると思います。最後の試合、最後の試験、その職場での最後の仕事。「最後の」と形容詞がつくと責任を負ってやってきたことは「どんなことでも懐かしく思い、もっとやっておけば良かった」と思うのです。

任期がある役割を担っている時、「最後の時」を迎える日が来ることを意識して、「いつでもやれる」と思わないで役割を担って欲しいのです。期日のある責任ある役割は役員も議員も同じです。

信頼関係が最も大事だと思って下さい。政治は理屈だけで動くものではありません。90パーセントは理論や積み重ねてきた調査によって決まりますが、残りの10パーセントは感情が入ります。感情が含まれていない条例や政策は心が通っていないので皆さんの幸せにつながらない政策になる恐れがあります。政治とは人の幸せと豊かさを求めるべきものですから、そうならないような政策は進めるべきではありません。

では10パーセントの感情を含めた場合、人によって感情に差異がありますから、どのようにして同意、賛成をしてもらうことができるのか。それも感情によるものです。提案者のことが好きか嫌いかで決定します。人はその人を好きか嫌いかによって物事の判断を下します。政策も同じ感情が入りますから信頼関係にある人同士で協議したものは同意されますが、信頼関係のない人に突然物事の依頼をしても簡単に賛成してくれるものではありません。

結果を出すためには日常活動によって信頼されることが大事なことです。

社会の出来事には正解はありません。方程式も決まったルールもありません。「恐らく社会的にこの方向が正しいよね」と大多数の人が思うような方向が正しいと思うので、その方向に進むよう決定していくのが政治です。社会で発生する問題に正解を求めようとしても、絶対的な正解はないので、民意が「正しい」と思う方向性に向かうように決めることが政治です。

「そんな曖昧なものか」と思うかも知れませんがそうなのです。絶対的な正解、つまり1,000人いれば1,000人が本当に賛成するような政策を立案することは極めて難しいからです。どれだけ良い政策であったとしても、必ず数人は「良い政策」と思わないからです。

全員の賛成を待って政策を推進しようとしてもそんな日は来ませんから、多数決で政策を決定し進めることになります。但し多数決は反対した人の人権を守るものであるべきなのは言うまでもありません。

リーダーは正しいと思う方向を示せる人で、その方向に導ける人である必要があります。

私達にとって一番大切なものは人権です。人権こそ国家も政治も守るべきものであり、人権を守るために政治が存在しているのであって、政治家は常に人権を意識して政策論議をする必要があります。人権を縛ることはできませんから、人権を制限するような条例を作ることはできません。人権を縛る場合は他の人の人権を制限する場合に限られるのです。

これを公共の福祉と言いますが、公共の福祉に反しない限り、私達の人権は国家権力からも守られます。

人権は総理大臣から与えられたものでも誰から与えられたものでもありません。生まれながらにして与えられている権利が人権ですから、これは尊重し護られるべき人間固有の権利なのです。

政治家は人権を護るための政策提言をしています。役員の皆さんも人権を護ることを意識して責任を果たして欲しいと思います。

そんな人権でも公共の福祉によってのみ制限を受けることになります。多くの人が望んでいるものと相反する個人の人権を主張しても社会は認めてくれないことになります。裁判で国を相手に訴訟しても、圧倒的に国が有利なのはそのためです。基本的に国は国民の幸せを考えて憲法の理念に基づいた法律を作っています。

「私の価値観はその法律の精神と違う」と主張しても、国民の大多数が納得しているものであればその価値は受け入れられません。最も大事な人権であっても制約を受けることがありますが、それは公共の福祉に反する場合のみとなっています。

例え一部の人が失われる利益の回復を求めて裁判を起こしても、国民の大多数がそのことによって不利益を被る恐れがある場合、その訴訟が社会で受け入れられることはありません。

社会的に正しいことを行っていればどんな価値で反論されても屈する必要はありません。

議会活動報告やその結果についての記載は割愛しましたが、受講生に対して以上のような項目も伝えました。

関労学校での講義

受講者から、「役員として役立つ講義で楽しかったです」、「議員がどんな活動をしてくれているか分かりました」などの意見をいただきました。

また主催者の人からも「自分も講義を受講しているような気持ちになり、楽しかったです」と感想を聞かせてもらいました。

伝えたいことの一つでも伝わっているとすれば嬉しいことです。これまでの経験を人に伝えることが先を歩く世代の役割の一つだと考えているからです。受講生の皆さん、熱心に聞いてくれてありがとうございます。