東京都内で「維信312」、追跡管理システム「一商品一番号」発表会が開催されました。来賓としてお招きをいただき出席してきました。注目の発表会に招待してもらえたことに感謝していますし、これから日本でも始まる「維信312」の歴史的現場にいられたことを嬉しく思います。
中国からは外交部礼賓司 張彦司長や中潤華通実業有限公司取締役会 宋中華会長などが来日して「一帯一路」政策と「維信312」についての挨拶をしてくれました。既に自由貿易を推進するための「一帯一路」戦略はシルクロード計画として参加国同士で実施されていますが、日本は「一帯一路」に参加していないため、この自由貿易システムの中には入っていませんでした。
そこで遅ればせながら「一帯一路」に参加するための「一商品一番号」システムが日本企業に向けて実施されることになりました。これが「維信312」なのです。
本日の説明では、国家戦略の「一帯一路」と連携して公平な体制で自由貿易を展開すること。そのために追跡管理体制の市場環境を作り上げていることが示され、日本企業も参加する機会が開かれました。
中国は信頼できる市場を創ろうとしているため、そのために消費者の安心と安全、企業のブランドと権利の保護、そして市場の正常化を図ることにしています。2020年までに国家追跡管理体制を標準化することを目指しています。
この制度が実現すると輸出と輸入が迅速に対応できることとなり、行政管理の透明化とトラブル防止にもつながるものです。
偽物や粗悪品が市場に出回っている中国ですが、今日示された話によるとインターネット市場で取引されている30パーセントは偽物や粗悪品であるということです。しかも一日のインターネットでの商品取引は3兆円から4兆円もあると示されました。日本の取引高と比較すると桁違いの金額となっています。それだけ市場が巨大なので、本物か偽物か見分けがつかない状況になっています。
そこで「一商品一番号」制度によって市場の健全化を図ろうとしているのです。ところで「維信312」のことは日本では余り知られていません。それは「日本の情報力が遅れている」ということだと指摘がありました。アメリカ以外の国の情報を把握する能力に乏しいという指摘で、中国を中心に巨大な自由貿易市場が形成されていることの情報を国内で発信できていないことが問題です。このことによって、中国に輸出をしている企業が不利益を被っていることも考えられます。
「一帯一路」に参加していないことから商務部の情報、将来戦略を十分に把握できていないようなら問題で、企業活動を支援するような国の対応が求められると思います。今回、「維信312」によって対中国輸出の窓口ができたことから、参加する企業が自由貿易の中で企業活動ができる道が開かれました。
中国へ輸出をしている企業には、十分にこの制度を介してもらって、手続きの簡素化、検疫の迅速化、商品の信頼性の確保と中国市場の新規販路開拓などの道を求めて欲しいと思います。
折角の制度も生かさなければ意味はありませんし、現時点においては、日本が対中国との自由貿易制度を作ることはできませんから、中国が作り上げたこの制度に乗っかることが輸出と企業利益を拡大することにつながるものだと考えています。
歴史的な発表会の現場にいて、この空気に触れられたことは緊張感がありました。転換していく時は、いまの制度に風穴を開けて、時代を切り開くようなこんな空気感があるのだと感じました。
帰路、午後9時羽田空港発の飛行機が遅れたため、関西空港到着が12時前になってしまいました。帰路の時間の長さを感じながら歴史的転換点になるかも知れない一日を終えました。