活動報告・レポート
2018年5月25日(金)
維信312

中国が進めている政策が一帯一路です。この政策に対応する形で進めているのが「維信312」です。中国国内での流通を信頼できるしくみを目指して導入される一商品一番号の追跡管理システムです。中国が法整備を整え商務部が市場監督管理番号を元にして命名されたシステムです。このシステムの導入によって自由貿易につなげると共に、消費者保護とメーカーの保護、そして市場の信頼性を向上させることにしています。このシステムがスタートすれば市場の透明性を高め、製品の妥当性を浮き彫りにすることになります。

目指しているのは国際的に通用する自由貿易のシステムをつくることで、そのために全世界共通コードのしくみを整えています。平成29年6月8日に北京で発表して以来、平成30年3月末までに法整備を整えたそうです。

この「維信312」が導入される利点は「製品の偽造防止」、「ブランドの保護」、「商品の追跡管理」、「顧客情報の取得」などにつながることです。つまり「維信312」に参加しているメーカーや商品の市場の信頼性が高まるため、消費者から選ばれることになります。商品の妥当性を確認できることも信頼になります。

また商品の妥当性とは価格差が限りなくなくなることです。自由貿易ですから日本で10,000円の商品が、中国において50,000円で販売されることはなくなるということです。自由貿易なので関税が限りなく小さくなるため生産国と販売国との間の価格差が限りなく同一になっていきます。国によって価格差がなくなることが自由貿易であり、このことによって商品流通の壁はなくなります。ただし商品流通のための世界統一の商品管理システムが必要となります。この世界統一の商品管理システムを完成させたのが中国だということです。

既に中国では携帯による決済システムが進んでいて、無人スーパーや無人百貨店なども導入されていて、街内の飲食店や衣料品店でさえアリペイやウィーチャットペイが使用できる状況です。このことは同国と取引関係にある人たちは、揃って「日本は携帯による決済システムは相当遅れています」と言います。日本で感じているよりも時代は進んでいて中国人は現金を持ち歩かないことが常識だそうです。

この「維信312」は中国の国家戦略の中の一つであり、商務部の管轄に置かれているものです。国内市場の信頼性と消費者とメーカーの保護を図ることを目指して導入される「維信312」は、今後、わが国の対中国貿易に大きな影響を与えるものと考えます。

わが国にとっては中国が自由貿易に踏み切ることは、日本メーカーが中国への市場進出を図るための信頼性の確保につながるものであり、世界を巻き込む自由貿易のしくみづくりは歓迎すべき動きだと思います。

この「維信312」に参加するメーカーは中国への輸出に関して、関税や検疫面で有利に働くことになりますから、参加するメーカーにとっては大きなチャンスとなります。

世界が動く時。その時まではゆっくりと進展し、準備が整った時からは一気にスピードをあげて進んでいくという感覚です。スタートした後は加速度を増して、今ここにいたと思っていても、次の瞬間には手の届かない先まで進んでしまって追いつけないという感じです。平成29年6月8日に「維信312」が北京で発表されてから世界は動いてきました。わが国では進捗状況を十分に把握できていなかったように思いますが、1年間で日本でも準備が整い、北京から一年後の6月8日に東京で発表されることが決定しています。

世界が自由貿易へと進展することは、輸出を主力としている国にとって、そしてメーカーにとって大きなチャンスが訪れることになります。中国の一帯一路政策に基づく「維信312」システムの今後の展開に注目したいと考えています。