県外で勤務していた方で和歌山市に転勤になった某会社の支店長が自らの経験を元に話してくれました。「和歌山県には良いものがたくさんあるけれど売り出し方がうまくないと思います」という話です。それは「有田ミカン」、「みなべの梅」、「あら川の桃」、「かつらぎの柿」などのことです。
支店長は「他の県はおいしい産品を産地で売り出すのではなくて県名で売り出しています。岡山県の桃、広島県のカキ、愛媛県のミカンなどです。県内のどの場所で栽培されたのか関係なく県の産品であることを売りにしています。どんな果物でも栽培されている場所によって品質も味も違いますが、県産品として売り出していると、どの地域で栽培したのかは関係なく、県のブランドとして流通します。ところが有田ミカンやみなべの梅など地域を特定してしまうと、その他の地域で採られた産品はブランドにはなりません。県としてのブランドの価値を冠にできていないのです。ですから和歌山県のミカン、和歌山県の桃など県名で売り出すことも方法ではないでしょうか。他の県から和歌山市に転勤してきて感じたことです」と話してくれました。
特定の地域だけではなく、それ以外の地域の産品も和歌山県産として売り出すことは参考になる考え方です。ただブランドとして認められるためには、一定の品質や味を保つ必要がありますから、全てに適用できるものではないと思いますが、和歌山ブランドを売り出すことやブランド品の拡大につながることも考えられます。
この観点で和歌山ブランドについて考えてみたくなります。
リニアモーターカーが開通すると、東京と名古屋間が40分でつながります。東京と大阪は1時間。ですから名古屋と大阪の移動時間は20分ということになります。現在よりも時間距離が飛躍的に短くなります。
リニアモーターカーに試乗した人から「山手線が一周するのに1時間かかりますから、名古屋は首都圏と一体化することになります」という話を聞かせてもらいました。
東京と名古屋が一体化した上で、東京と大阪も1時間ですから山手線並の移動時間となります。大阪も首都圏と市場、人の移動、情報の共有化など一体化する可能性もあります。
つまり国土軸から離れた府県は、この一体化した圏内から置き去りにされる可能性があるのです。これは次の世代の話になりますが、リニアモーターカーが開通するのに合わせて、今まで以上に地方都市は存在感を示さなければならなくなります。
中でも紀伊半島にある和歌山県は、この圏内に近い存在であることを強く訴える必要があります。でなければ国土軸からさらに距離が遠ざかる恐れが生じるからです。
観光面ではリニアモーターカーは好機ですが、経済面では好機になるかどうか戦略次第です。リニアモーターカー開通時期を見据えた和歌山県あり方を考えることはとても大事です。
和歌山市内の某自治会と防災の取り組みについての打ち合わせを行いました。和歌山市には防災落語を実施している落語家がいます。楽しみながら災害への備えをする方法を考えていたところ防災落語のことを知りました。もう数年間、ここでは防災訓練や避難訓練は実施していますから、違った形での取り組みが必要だと考えていたので、計画に当てはまるものだと思います。実施する方向で協議に入ります。
広島市内のカフェで夜間に武将や忍者のショーが行われ、外国人観光客に人気があることを伝えてくれました。これは「サムライニンジャシアター」で土曜日夜に実施しているようです。広島県では夜のエンターテイメントの創出を目指していることもあり、「広島の夜のエンタメは自分にしかできない」と思い、カフェを借りてこのイベントを開催しているようです。
「広島城をテーマにしたショーを実施している熱い人がいることは素晴らしいと思います。和歌山城をテーマにした武将や忍者のショーも実施できると思います。そんな発想や企画はないものでしょうか」という意見です。
和歌山県内でも夜の楽しみとなるエンターテイメントの必要性を感じていますから、参考になる話題を提供してくれたことに感謝しています。