活動報告・レポート
2018年3月24日(土)
視察から帰る
視察から帰る

三日間の会派視察から和歌山市に戻りました。今回は群馬県を訪れ、群馬大学の自動運転技術と世界遺産の富岡製糸場について学んできました。

自動運転技術はある程度確立されていますが、道路事情や交通事情によって安全性をどう確保するのかが課題になっています。限られた地域内の道路を走行するだけなら安全性の確保はできますが、全国の道路を走行しても100パーセントの安全性を確保することは現在の技術では困難なため、実用化はかなり先のことになります。

難しいのはわが国の法律と道徳上の問題で、交通事故を起こす確率をゼロにしなければ公道を走るための認可が下りないということです。「1年に数回の事故を起こすかも知れない、その中で死者が出る確率はゼロではない」という自動運転のデータが示されたとしても、公道を走行させることは難しいと思います。

何パーセントまで事故の確率を下げたら自動運転の車の公道の走行を認可するのではなくて、ゼロにしなければ認可されないと思いますから、まだまだ実用化は困難だと思います。

群馬大学では地域限定の自動運転の実験を行っていますが、それは地域を限定することで事故の確率を限りなくゼロに近づけることができるからです。ただ法律改正の必要がありますので、かなりの難関が待ち構えていることも事実です。

しかし兵庫県神戸市と広島県福山市から群馬大学に自動運転車の実験の依頼があり、既に両市で実験を終えています。高齢社会、そして高齢者が増えているかつてのニュータウンでは高齢者の外出時の問題から自動運転が求められています。実用化を図ることが出来れば外出機会が増え、生活面でも、余暇の楽しみにおいても、健康年齢の延伸でも効果があるので、期待しての実験の依頼だったと思います。

これは限られた地域を限定しての実験なので、高齢者の多い住宅地などに限定して自動運転車を走らせるという考え方もあります。

群馬大学では地元の前橋市と協力して公道を使っての実験が始まろうとしていますが、今回視察をしたことで自動運転の事情がある程度分かったので、大きな期待を持ちながら得られる成果を楽しみにしています。

また富岡製糸場は世界遺産に相応しい歴史と人間ドラマを持っています。わが国が経済成長を遂げる時代において中心を担った養蚕の核工場であり、この工場なければ今日の日本は違う形の発展を遂げていたかも知れません。それ程の重要な役割を果たしたのが富岡製糸場であり、現地を訪れ説明と質疑を行ったことで理解できるものでした。

今回の視察も有意義で議会活動に生かせると考えています。

若い経営者の意見

午後6時30分から約30人が集まる懇談会に参加しました。若い人達との懇談を楽しみました。その中の一人と県政について話し合った内容です。

「塗装の会社を経営していますが、若い人が少ないので和歌山県の将来に不安を感じています」ということです。それは若い人が県外に出ていることと人口が減少していることから市場が縮小し、「この仕事で食べて行けるだろうか」という問題。そして最近の若い人達は技術職を避ける傾向があり、人材の育成が難しいことも問題だということです。

加えて和歌山県を始めとする公共工事の入札参加資格は「過去に同様の工事の実績があること」という条件がある場合が多く、実績のない若い経営者の会社は入札に参加することもできないから、新しい会社は和歌山県内で伸びることは難しいという問題です。入札参加資格に「実績」を条件にされると、新しい会社や若い人が老舗の会社から独立した場合、入札に参加できないので、何時まで経っても老舗の会社の下で仕事をすることになり、自立できないという問題です。

ですから「看板は大事だと思いますが、若い人達の会社が成長する環境が整っていないと思います。新しい会社が入札に参加できるしくみが必要だと思います。それがなければ若い人も新しい会社も県外に出て行くことになると思います」という意見を提言してくれました。

若い経営者からの問題提議を聞いて、これらの問題は解決すべきものであり仕事を創ることと共に条件を緩和してオープンにすることの必要性も感じました。

その他にも出された意見は次のようなものがあります。

  • 若い人に技術を教える機関の充実が必要です。新卒者を採用すると自前で技術を教えることになりますが、その場合、会社として正規雇用の給料の支払いが発生します。見習い期間は仕事の成果をあげられないことや教える時間が必要となるので、小さな会社だと人件費の支払いが困難です。実際に若い人を預かって育てられる環境ではありません。
    しかも最低賃金が高くなっているので小さな会社にとって若い人を育てながら雇用することは難しいのです。採用した場合の賃金補助制度の充実が必要だと思います。
  • 人材不足に対応するため外国人の技術者の採用も検討しています。雇用するに当たって会社として資格がいると聞きますが、和歌山県でもそんな資格が必要なのでしょうか。
  • 和歌山県は人口が減少していますから、それに伴って仕事も減少すると思います。将来性がないように思うので、和歌山県で仕事をやっていけるのか不安です。若い人達が将来においても、和歌山県で仕事ができるようにして欲しいと思います。
  • 自分の子どもにもこの仕事をして欲しいけれど、「和歌山県に戻ってこの仕事をやってくれとは言えません」という意見です。それは和歌山県内で親の小さな会社を継いでも、この先、仕事があるかどうか分からないからです。自分のやりたい仕事があれば親としてそれを支援したいので「和歌山県に戻れ」とは言えません。「もっと和歌山県に未来を感じられたら帰れと言えるのですが」という意見もいただきました。

若い人達も和歌山県で会社を経営していくことに関して深く考えています。それを支援していくことが県政、そして県議会議員の役割だと考えています。とても楽しい時間を過ごすことができました。