「地方創生とインフラ」についての講義をしてもらいました。講師は芝浦工業大学MOTの谷口博昭客員教授です。公共事業は無駄が多い代表のように言われていますが、歴史から学ぶと中国の故事である築土構木が語源になっています。これは住生活環境改善のことを意味しています。
昔、中国では河川を制御することが課題だったそうです。中国の河は大河なので大雨などで氾濫すると民の生活が脅かされることになります。為政者の使命は民の平穏な生活ですから、河川を制御することが政治であり、それが築土構木だったのです。ですから歴史上、生活や経済を支えるものが公共事業だったのです。
ところで公共事業でも取引でも、何でも現場で起きています。現場こそ価値を創造しているものなのです。現場が価値創造の場なのですが、時々刻々と変化しているので現場管理がとても重要なのです。管理部門と現場との間で溝ができるのは、現場は常に変化しているからです。一度、現場を見た管理部門の人は、現場は見た時から変わっていないと思っていますが、現場にいると時々刻々と変わっているため、そこに溝が生じ対立するのです。
そのことをOKYと呼ぶそうです。OKYとは「お前が来てやってみろ」のことで、現場を知らない管理者に対しての意見だそうです。現場を知らない人が指示をしているようでは、組織は機能しません。現場を知っている人の意見を最大限に反映させることが仕事をする上で必要なことです。
さて公共事業の代表例が道路です。道路は生活や産業を支える下部構造と言えるもので、社会の基盤となるものです。現代生活は道路と共にあります。例えばコンビニやアマゾンが成り立っているのは高速道路網が整備されているからです。高速道路は時間が読める、信頼性がある、そして道路事情が安定であることから、コンビニなど流通の仕事が成り立つのです。そのためこれらの流通事業の倉庫は高速道路のインターチェンジ付近に設置されています。インターチェンジの近くに物流倉庫は必須であることは現代社会の常識なのですが、その感覚が分からなければ社会に遅れることになります。つまり高速道路は走るための道ではなくて現代社会の基盤となっているものなのです。高速道路は社会の高度化、少子高齢化が進行していくに連れて必要なものなので、もし不必要と考えるならその地域は発展から取り残されることになります。
でも何でも造れば良いというものではなくて、リーダーは将来の目指すべき姿を描く必要があります。そんな目指すべき長期計画のことをビッグピクチャーと言います。このビッグピクチャーを描けることがリーダーの役割なのです。一人でできないことでも多くの人がそれを求めると実現に向かいます。そのために必要なものがビッグピクチャーで共生するために必要なものです。参考までに共生は「ともいき」と読む方が人と人が共に生きていることをうまく表現できます。
社会と人の生活を支える公共事業の予算にゆとりがなくなってきています。予算の自由度がなくなればなくなる程、誰がやっても同じだと言えます。予算を使える裁量が少なければ誰がリーダーをしても同じなので、県や市が予算を確保することはリーダーの力を発揮させるために大切なことだと言えます。
社会は単純なものではなく、多くの人といま社会を支えている役割のあるものが支えあっているものです。だからこれが良くないからと言って予算をカットすると、他のこともうまく機能しなくなることがあります。全体を見る力、つまり鳥瞰力を持って仕事を進めたいものです。
「地方創生とインフラ」と共にリーダーの役割も学ぶことができた、とても貴重な機会となりました。
- 冊子「ゆうあい」の特集議事取材のため、インタビューに行ってきました。事前に質問項目を渡して説明したので、その答えを用意してくれていました。良い取材になりました。
- 実家に立ち寄り母の様子を伺ってきました。寒暖の差が激しく体調管理が難しい季節なので、健康に気を付けて欲しいと思っています。丁度、親戚の皆さんが来ていて、「お世話になりっぱなしで。議会の様子はテレビで観ていますよ」と話してくれました。お世話になっているのは僕の方です。