雅楽演奏会の案内をいただきました。和歌山雅楽会は設立してから50年超える歴史を持つ団体です。和歌山市内で毎年、定期演奏会を開催していることから和歌山市の文化として定着しているように感じます。
本日は和歌山雅楽会の役員さんが催しの案内にきてくれたので雅楽会について教えてもらいました。
役員のEさんが雅楽を始めたのは小学生の時ですから、もう50年以上雅楽に親しんでいることになります。「最初から雅楽に興味があったのですか」と質問したところ、「最初はいやいや練習していました。ところが大学生になって雅楽部に入部したのですが、ある時、東京遠征する機会がありました。そこで日本でトップの雅楽奏者に会いました。『吹いてみなさい』と言われたので、ドとレを吹いただけで演奏をとめられました。そして名人は『音が違います。聴いておきなさい』と言われて演奏を聴きました。しかしその時はどこが違うのか分かりませんでした(笑)。でも本物の奏者に接したことで私は雅楽に対して本気になりました。その後、2年間東京で練習をすることになったのです。不思議なことに本物に囲まれて練習していると『やるからには負けたくない。日本一を目指そう』と思えてくるのです。本気で雅楽に向き合い練習をしたお陰で、それなりの実力を身につけて和歌山市に帰ってくることができました。そこから子ども達への指導をすることになったのです。子ども達に指導をしていますが、上達するためには目標が必要です。そこで定期演奏会を開催することになりました。演奏会という目標ができたことから、練習に力が入っていきました。お金をいただいて演奏会をするのですから実力を高めなければなりません。そんな練習環境を整えたのです。更に年一回は東京から一流の奏者を招いて練習を見てもらっています。私が若い頃、東京で一緒に修行した仲間が一流奏者になっているので、呼び掛けて来てもらっているのです。子ども達は奏者の話や演奏を真剣に聴いてくれます。その本気度が実力を高めるために必要なものです。同じことを言っても、私が言うと適当に聞くだけですが、東京の奏者が話をすると真剣に聞いています。同じ話でも真剣に聞くことで伝わり方が違ってくるのです。私は『おいおい、同じような話だよ』と内心思うのですが、それはそっとしています。本番の演奏会では、経験の少ない子どもにパートリーダーを担当してもらいます。文字通りパートのリーダーなので人を引っ張っていく力量が求められます。最初は不安がりますが、パートリーダーをすることで実力が一気に伸びるのです。私は『後ろで大人の経験者がカバーするから、失敗しても良いので思い切りやれ』と伝えます。安心感を与えてあげることも大事なことだと思います。このように責任感と自覚に加え、自分だけ、パートだけではなくて全体を見渡す力が養えるのです。全体を見て動きが見通せるようになることは一流への道です。自分だけの意見、パートだけの意見が全てではなくて、全体を良くするための意見を伝えることや、他のパートの人が演奏しやすいように配慮することに気づくことが実力を伸ばすために必要なことなのです。パートリーダーをした子どもが伸びるのは、そんな力を身につけられるからです。雅楽を通じて人を育てることに努めています。和歌山市にとっても人材育成は大事なことだと思うので、私も雅楽の練習と演奏会を通じて人づくりをしているのです。そのために経験を積むこと、本物に接すること、パートリーダーの役割を担ってもらうことなど、成長するために必要なことを実施しています」
僕が雅楽の演奏を初めて聴いたのは、南紀熊野体験博の会場です。博覧会の野外音楽堂で和歌山雅楽会の演奏を聴いたのですが、神々しくて感動したことを覚えています。そこからのご縁をいただいて、雅楽会との関わりを持たせてもらっています。和歌山雅楽会が和歌山市の文化度を高めてくれている活動をしてくれていることに感謝しています。