活動報告・レポート
2018年1月31日(水)
行政改革・基本計画等に関する特別委員会視察二日日
ハマウィング

午前の視察は、横浜市で実験を行っている「横浜市風力発電事業」です。通称「ハマウィング」で、ここでは風力発電で発電した電力を水素に置き換えて蓄電する技術の実験をしています。

ハマウィング視察 ハマウィング視察

平成19年に風力発電を建設していますが、建設費の5億円の一部を住民参加型市場公募債で調達したエネルギー事業で、横浜市がこの分野の最先端モデルであったように思います。

ハマウィング視察

さて平成27年から新たに「地域連携・低炭素水素技術実証事業」として水素を作り出し、水素のサプライチェーンモデルの実証を行っています。「ハマウィング」で作り出した電力で水素を作り、この水素モデルの協力企業の工場などの燃料電池フォークリフトで使います。もう少し詳しく説明すると、風力発電で発電された電力を水素製造安定化システムで水素を作り貯蔵します。この貯蔵した水素を水素充填車で京浜臨海部の青果市場、冷蔵倉庫、物流倉庫などの燃料電池フォークリフトで使っています。

風力発電、水素製造は確立されている技術ですが、この一連のエネルギー循環のしくみを確立させている場所はありません。そこで横浜市では水素サプライチェーンのしくみの実証試験を行っているものです。

ハマウィング視察

既に設置されていた「ハマウィング」の敷地内に水素サプライチェーンに関わる装置を設置し、これも連接している横浜市中央卸売市場、キリンビール横浜工場、二か所の物流倉庫内の燃料電池フォークリフトで使用されています。

水素の製造と運搬、そして近くで活用できる工場が存在していることから実証実験が可能となったものです。新たにこのしくみを作ることは資金面、立地面、環境面などから困難なので、横浜市に適地があったことから、環境省と神奈川県、横浜市、川崎市などが連携して取り組みが開始されています。そこに岩谷、東芝、トヨタ自動車などが協力することになり実証事業としての取り組みがスタートしています。

ハマウィング視察

この中で興味深いものは蓄電池システムです。トヨタのハイブリッド車のプリウスから取り出したリユースの蓄電池180個を集めて水素の蓄電池として使用していることです。再生可能エネルギーと蓄電池の再利用が最新の実証で使われていることが、地球環境保全の取り組みを象徴しているように感じました。この水素サプライチェーンを確立させるまでにはまだまだ長い時間を要すると思いますが、この場所で未来型の実証を行っていることを感じることができます。未来を感じることができる。それだけでも夢があり素晴らしいことだと思います。地方都市にいると未来を感じられる場所は直ぐに思い浮かびませんから、都市型の実証実験をうらやましく思いました。和歌山県でも実証事業を行いたいと思っても、事業環境が整っていないので直ちに実行することはできません。できるだけ早く実証実験を終えて、全国でこのしくみが使えるようになって欲しいと思います。モデルが完成すれば地方都市でも活用を図れると思います。水素エネルギーを活用した未来を感じられる施設の視察となりました。

ハマウィング視察
圧縮空気貯蔵システム
河津圧縮空気エネルギー貯蔵試験所視察

続いて伊豆にあるエネルギー総合工学研究所の河津圧縮空気エネルギー貯蔵試験所を訪れました。ここでは電気を圧縮した空気の形に変えて貯蔵する試験を行っています。電気は貯めることができないので、現在、バッテリーや水素などの形で貯める方法が使われています。電気を貯める方法のひとつとして空気を利用する試験を行っているのがこの試験所なのです。

空気を利用した電気貯蔵システムの試験を行っているのは世界でここだけだそうです。利用している技術は圧縮空気エネルギー貯蔵、熱変換貯蔵、蓄電池で、発電出力変動緩和のための蓄エネルギー設備の運用制御技術開発の取り組みを行っています。

ただ技術開発は簡単なものではなく、理論上や計算通りにはいかないようです。研究者は「新しい技術は簡単ではありません。成功させたいと思って取り組んでいますが、現段階では予定通りではありません。まだまだ取り組みが必要です」と話してくれたように、技術開発で簡単なものはないようです。

世に出ている技術は全て研究者の持つ技術、勘、経験、実験の繰り返しによって生まれたものです。私達はそんな過去から生み出されてきた数多くの技術の恩恵を受けて生活しています。そんな先人の全てを受け取って文化的な生活を過ごせていることに感謝したくなりました。

河津圧縮空気エネルギー貯蔵試験所視察

試験が始まっている空気を圧縮して電気を貯蔵するシステムが、いつか世の中に登場する日が訪れるかも知れません。その日が訪れると、今日の伊豆で見た光景を思い出すことになります。ここでも未来を見ることができました。