「人は活気のあるところに集まってきます。活気のないところに人は集まりません」という話を聞かせてもらいました。街に活気があれば人は集まってきますが、活気がない街に人は集まりません。人も同じで、活気のある人の下に人は集まりますが、活気のない人のところに人が集まることはありません。
つまり人は楽しいところ、明るいところ、期待が持てるところに集まる性質があり、元気がない、暗い、期待がないところに人は集まらないのです。だから人は明るくて活力を持つことが必要なのです。社会も会社も政治も、人が集まることで勢力を維持することができるのです。
当たり前のことですが、当たり前のことを実践することは難しいのです。そのため、難しいことを当たり前のようにできる人のところに人は集まるのです。ですから社会で一番難しいことが人を集めることなのです。
長く会社生活をしてきた人が定年退職後に地元に戻り、「難しいと感じることがある」と聞きました。それは地域内の人間関係です。会社であれば上司が部下に仕事の命令をすることは当たり前のことですが、自治会など地域社会ではそれは通用しないことです。自治会はボランティア組織ですから、トップが強制的に何かを強いることはできません。会社であれば給与査定や人事権は会社が握っていますから従業員さんは命令に従います。しかし自治会員は給料をもらっていませんし、そもそも人事権はありませんから、たとえ自治会長だとしても自治会員を力任せで動かすことは出来ないのです。
会社勤め経験者が自治会役員になって苦労するのは「自治会長など役員の言うことを聞いてくれない」ことです。企業勤務経験者であっても、自治会長を務めることができないのはそのためです。
こんな話を聞いて、ヒエラルヒー組織になっていない組織体をまとめることの難しさを感じます。これからの社会の中でみんな一つの方向に向かうためには、活力のある人が集まることが条件だと思います。
人が集まることや何かをしてもらうことは、社会において最も難しいことの一つです。自分のことであれば自分が頑張れば何とかなることがありますが、人間社会において自分一人で出来ることは限られています。むしろ一人で出来ることを成し遂げたとしてもたいしたことのないものが多いのです。人は助け合い、高め合い、未来を語ることがとても大事だと思います。
「仕事は人脈が大事です。良い人脈のあるところに仕事があります」と言って、東京と大阪から和歌山市まで仕事に来てくれました。良い人脈があるところに仕事があるのは理解できます。仕事は人から人へと伝えられるものだからです。現在は価格競争社会ですが、価格に勝るものが人脈と信頼なのです。価格はとても大事なことですが、人脈を大事にすることは、将来、今の価値の何倍にもなって戻ってくるので、人脈を築き維持していくことが、とても大事なことなのです。
大きな会社であればある程、紹介者が誰なのかが重要な要素になります。信頼のない人からの紹介であれば消極的対応となりますが、信頼のある人からの紹介であれば積極的に対応することになります。消極的対応と積極的対応では後の結果が違うものになりますから、仕事をするに当たっては地域社会からの信用がとても大事なのです。
何としても自分のモノにしたい人脈ですが、それは簡単に入手できるものではない得難いものなのです。人脈は長い年月を要して得たものですから、それを生かせるような仕事をしたいものです。