活動報告・レポート
2018年1月9日(火)
喜働
喜働

数人の経営者の皆さんと懇談する時間をいただきました。サービス業種や技術職が不足していて、「良い人がいれば雇用したい」という話でした。地方都市におけるこれらの業種での人材不足は深刻で、「なかなか見つからない」ということです。

そして「技術の伝承がなければ地方都市、和歌山県の将来も大変なことになると思いますし、全てがAIで代替できるものでもありません」というように将来を担う若い技術者の養成が課題だと説明してくれました。

またサービス業に関しても「インバウンドの振興などで和歌山県では外国人観光客が増えています。観光客が増えるとその対応にサービス業は忙しくなりますし、休祝日が増えることでもサービス業は忙しくなります。若い人が働いてくれないことには人材はまだまだ不足することになります」という話です。

そして働くことを「喜働」と表現してくれました。働くことは苦ではなく喜びであることを表現する言葉です。働くことは「はたを楽にすること」などの例えがありますが、「喜働」も働くことを自らの喜びにすべき例えです。喜んで働くことでお客さんは喜んでくれますから、お客さんが喜んでくれることが自分の喜びへとつながります。喜びごとが喜びごとを連れてくる。そんな循環を表現するような言葉です。

日本の伝統的な価値のひとつに「働くことは自らを成長させるものである」ことがあります。働くことは賃金を得ることや生活のためのものなどの価値と共に、働くことによって自らが成長するという価値があります。働くことで会社は利益を得るように、個人としては得た知識や経験、人脈が財産になるものです。若い頃は働くことでたくさんの利益は得られませんが、それ以上の知識、経験、人脈を得ることができるのです。

働くことで得られる知識や経験、人脈は、もしその会社で働いていなければ得られることはなかったものです。だから賃金以外にも会社から得ている利益があるのです。お金は使えばなくなりますが、知識や経験、人脈などの財産は使っても減らないばかりか、使うほどに価値は高まるものです。

社会人として働くことで、給与をいただきながら財産をいただいているのです。このことが分かっていると「喜働」という価値になります。

だから働く人が「喜働」の価値を最大限に受け取るためには、自分が不得意なことにも挑戦する気持ちが必要となります。話をしている中の一人にここで雇用されている人がいました。本来は「人前で話をすることは苦手」だそうですが、社長から「人前で話をすることや会議の司会などの役割を与えられている」ようです。

この人は「逃げたくなる気持ちもありますが、不得意な仕事を与えられていることは、それを『自分のものにしなさい』という社長の気持ちだと思うので、しっかりと責任を果たしています」と答えてくれました。素晴らしいことだと思います。

そしてこの人は習字のお稽古に参加していました。その理由は「お客さんにハガキを出すので字をきれいに書くため」です。

そこで従業員に習字のお稽古を学ばせている社長に尋ねると「営業の基本はお客さんにお礼状を書くことです。お礼状の文字は丁寧に、読みやすいものにする必要があります。だから習字を習ってもらうのです。僕は若い頃から現在に至るまで、お客さんに出すお礼状のハガキは全て手書きです」と話してくれました。

お礼状を書くことは営業の基本であり、そのためには読みやすい字を書く必要があるのです。基本を実行するための基礎となる字を書くことを従業員に施しているのです。これが人に対する投資となり、やがて利益を生み出してくれることになります。そして字を丁寧に書けるようになることは従業員にとっての財産となりますから、将来の武器にもなります。

こんな経営者の考え方と働き方が「喜働」につながるものだと感じました。

平成30年5月に山西書道教室の作品発表会が開催されます。そこに向けて書のお稽古を開始しました。5月の作品展に出展するためには4月中旬までに完成させる必要があり、時間があるようで少ないのです。

今日のお稽古では作品の文字を決定し書き始めました。作品展に向けて頑張ります。

ところで昨年の出展作品は「氣」でした。先生から「片桐さんが『氣』の作品を出してくれてから、周囲で『「氣」という文字が好きになりました』という生徒さんが増えています」と嬉しい話を聞かせてもらいました。

今年の作品も親しまれる作品になるように頑張ります。