活動報告・レポート
2018年1月2日(火)
解体新書

友人からの勧めがあり録画していたNHKドラマ「風雲児たち」を観ました。極めて困難なことに挑戦し、何年かかっても諦めずにそれを成し遂げた医学者達の執念、情熱、思いが伝わってきました。「風雲児たち」の物語の素晴らしさを友人の言葉を借りて少し紹介すると以下の通りになります。

ターヘル・アナトミアってご存知でしょうか?世界史上初の西洋医学書のことです。それを翻訳した本が、ご存知の「解体新書」です。学校で習ったことがあると思いますが、著者は杉田玄白 だと教えられた記憶があります。

ですが、杉田玄白が翻訳者の中心人物ではなかった歴史の事実があったことをご存知でしょうか?聞きなれないこの名「前野良沢」こそが、解体新書になくてはならない存在で、その立役者でした。

なぜ、前野良沢の名は載らず、名声は杉田玄白だけのものになったのか?二人は、解体新書を世に出すため三年半の月日をかけて、来る日も来る日も一心同体となり共にやってきましたが、いったい杉田玄白との間に何が起こったのか?

前野良沢、杉田玄白のそれぞれの思い。鎖国ど真ん中の江戸中期の時代に、解体新書に関わる各界の様々な革命児たちの存在など、みなもと太郎さん原作の歴史漫画【風雲児たち】を基にして、脚本界の風雲児である三谷幸喜さんが、新しい歴史ドラマを創り上げました。

鎖国の時代に、少しの手がかりだけを頼りに一語一語 オランダ医学書を翻訳していった時代の風雲児たちの不屈の心、チャレンジ精神にとても刺激を受け、涙しました。

今の日本を築き上げた先人たちの感動的なエピソードがたくさん詰まっているこのドラマを是非、皆様にも見ていただきたいとお知らせしています。

本当にこのドラマは、志を高く持ち、仕事をしている方々にはとくに響き、感動するものだと思います。責任感を持ちやり遂げることや、自分の名より、医学のためという志だったり、これは多くの方に見てほしいと思うドラマです。

紹介してもらった通りに、登場人物の生き様に感動しました。オランダ語で書かれた「ターヘル・アナトミア」を辞書もない時代に一語一語、それが何の言葉なのかを推測し、和訳を当てはめていく作業を続け、ついに解体新書を完成させた前原良沢の生き様は感動です。そして解体新書には杉田玄白の名前が記され、前野良沢の名前はでてきません。解体新書発刊当時も、医学者の杉田玄白はオランダ語に精通した医師として名声を授けられ、歴史に名前を残すことになります。一方、実際に「ターヘル・アナトミア」を翻訳した前野良沢の名前は歴史に刻まれませんでした。

ただ歴史に名前を残すか残さないかは大きな問題ではなく、志を持ってその時代に必要なものを、そして後世の人が幸せになるようなものを残すために成し遂げるための活動が尊敬されるものなのです。名声を追いかけると策略が必要ですが、志を持って活動すれば策略は必要ありません。

必要以上に大きな力、大きな組織に頼らなくても、成し遂げたいものに志を持って挑めば、人も運も味方してくれると思います。名前よりも自分の仕事に責任と誇りを持って後世の人を幸せにするための役割を担う前野良沢の生き様は共感しました。

そして医学発展のために完璧な状態にする時間を惜しみ、早く世の医学者のために、医学の進歩のために「ターヘル・アナトミア」を「解体新書」として世に出したいと考えた杉田玄白の生き様。二人の存在がなければ「解体新書」は生まれませんでした。

お互いに異なる価値観であっても目指すべき目標が一致していれば、相手を陥れるのではなくて結果を求めることを優先すべきだと思います。

歴史で習っただけの「解体新書」にこれだけのドラマがあったことを知り、歴史の偉大さ、歴史が私達に与え続けてくれている者の存在を知り、歴史の中で生きていることを嬉しく思います。