活動報告・レポート
2017年11月8日(水)
経済警察委員会視察最終日

経済警察委員会視察は最終日となりました。都内の協和コンサルタンツを訪問し小水力発電の取り組みを聞かせてもらいました。この会社が取り組んでいる小水力発電の特徴は落差1メートルがあれば発電できる性能を有していることです。

そのため、水力発電設置ができなかった農業用水路でも小水力発電を設置することが可能になっています。落差、水量が少なくても発電できるのですが、その分、発電出力は小さくなります。従って売電に供するだけの売電量がないため売電した電気は地元で使うことが適しています。この小水力発電は、電気の地産地消の役割を果たす小水力発電だと言えます。

また協和コンサルタンツとしては、小水力発電に地域の方々が取り組むことで地域、故郷への愛着や誇りを醸成することを提言しています。自分達で発電した電気で産品を作ることやイベントなどの電気として活用し、地域活性化につなげることなどを地域に入り一緒に考えています。これまでの取り組み事例も紹介してくれました。

小水力発電を活用して地域活性化に取り組む意欲のある皆さんを応援する素晴らしい会社でした。説明者は、どこでもやる気があれば、小水力発電の可能性調査に行きますから声をかけてください、と話してくれたことが嬉しいことで協和コンサルタンツの姿勢を表しています。

この取り組みを成功させるには主役は地域だと言う意思を持ち、地方自治体に相談することがお薦めだとも話してくれました。地域の方が外部のコンサルタントを頼るだけではダメですし、地方自治体もその気にならないとできません。地元企業や大学などから人を集めることができるのは地方自治体です。協和コンサルタンツが事業説明会をやると言っても、なかなか人に集まってもらえませんが、地方自治体が説明会を開催するとなれば人は集まります。行政の最大の長所は信頼だとも言えます。

ところで協和コンサルタンツは、子どもへの教育に力を入れていることが随所に分かる説明をしてくれたことに共感を覚えました。単なる小水力を売る商売ではなく、地域に入って地域興しのお手伝いをするだけでもなく、その地域に財産を残そうとする意思が感じられました。

ここで言う地域の財産とは、故郷に愛着と誇りを持つ子ども達のことです。小水力への取り組みを通じて、子ども達に地域が故郷のために懸命に頑張っている姿を伝え、故郷で経済が循環するしくみを作っていることを伝えることで、子ども達に「君たちの故郷は素晴らしいところだよ」と教えることが地域興しだとするものです。

事例として栃木県の県立今市工業高校の紹介をしてくれました。この高校では農業用水路に小水力発電を設置する実習を行い、国内希少野生動植物種指定のシモツケコウホネの保全に向けた取り組みを行いました。今市工業高校と日光市、二つの企業が協定を交わし、この事業に取り組み実績を残しました。協和コンサルタンツは「今市工業高校の生徒は素晴らしいので採用したい」と同校に就職の依頼をしたのですが、生徒たちは「日光市が好きなので他の府県ではなく地元で就職したいと思います」との返答があり、この小水力事業に係わった全ての生徒が地元で就職をしたそうです。

協和コンサルタンツは残念に思いましたが、「自分達は、この事業を通じて地元に愛着と誇りを持つ人材を育成することを目指していたのだから、この成果を喜びたい」と思ったことを話してくれました。

今市工業高校の生徒も素晴らしいと思いますが、協和コンサルタンツも素晴らしい会社だと思いました。

利益を得ることと同時に地域に貢献すること、そして子ども達を育てることを目指す会社を訪問できたことを嬉しく思います。

経済警察委員会は、協和コンサルタンツのとの意見交換を終えて終了しました。全ての行程を無事に終えて和歌山市に戻りました。