世界を救うことができる。現実にはそんなことを思っている大人は少ないと思います。映画「ワンダーウーマン」の主人公ダイアナの相手役であるスティーブは諜報部員としてドイツと戦っています。母国イギリスを一人で救えるとは思っていませんでしたが、ダイアナと知り合い、「自分ができることをやるべきだ」と気付きます。
ただダイアナは世界を救える女性だと思いますが、自分は世界を救える人物ではないことを承知で、無茶な戦いに突入していきます。そしてドイツからの攻撃から今日の世界を守るために毒ガス兵器を積んだドイツ軍の戦闘機を奪い、自ら操縦します。戦闘機を破壊しなければ毒ガス兵器も破壊できないので、自分の命と引き換えに操縦しながら飛行中の戦闘機を爆破します。
操縦席で毒ガス兵器に火をつける前の一瞬の表情が印象に残ります。それは、「命は惜しい。でも世界を救うためには命と引き換えなければならない状況にある」と思い、迷い、そして覚悟を決めた男の表情として凝縮されていたように感じます。覚悟を決めたスティーブは自ら操縦している戦闘機を爆破し、戦闘機は地上で戦っているダイアナの上空で燃え盛ります。
ダイアナは大切な人を失ったことを知り悲しみますが、その力を増幅させ立ち上がり再び戦います。
実はスティーブは戦闘機に乗り込む前にダイアナにこう伝えます。
「僕は今日を守ることが出来る。君は世界を守れ」。感動の台詞です。多くの人は世界を救うことはできないけれど、自分が関与できる場所と時間において、今日を救うことができるのです。直接、関与している今日一日を救うことが出来るなんて凄いことです。
昨日も明日も自分は関与出来ないので、直接的にはどうすることもできません。しかし今日、自分の周囲で大変なことが発生した場合、行動しなければならない状況にある時など、自分が行動することで今日を守ることが出来るなら、それを「やる」ことが正義だと思います。
覚悟を決めた人間は恐怖を克服し、微笑みながら命を懸けることができるように感じました。正に覚悟の力です。
しかし覚悟を決めるためにスティーブが思ったことはまだありました。ダイアナにもう一つのことを伝えたのです。大切な時計をダイアナに手渡しながら「愛している」と伝えたのです。今日を守るために必要なことは、自分がやるという覚悟と大切な人を守ることなのです。大切な人を守れなくては自分だけが今日を生きても意味がない。そんなことを教えてくれたように感じます。
ダイアナの活躍で戦争に終止符を打ったイギリス。勝利を祝っている人が集う広場にこの戦いで命を落とした勇士の写真が飾られていました。スティーブの写真を見つけたダイアナは空を見上げます。
スティーブが守ってくれたあの時があるから今があることに気付き、自分は世界を守ることを決意します。あの「今日」がなければ今の「今日」はなかったのです。そうです。あの時の「今日」が違ったものになっていたら、今の「今日」もないことを知らなければなりません。
死んでも人の心に生き続けるとは、このことです。
ナームの会開会前の懇談の席で、健康維持、高齢者雇用、若い人の県内就職の問題などを話し合いました。いずれも和歌山県の大きな課題であり、現在も県政が対策を講じています。ただ問題視している人が多いということは、県政が浸透していないことを示しているものです。課題として捉えています。