活動報告・レポート
2017年8月29日(火)
和歌山県内視察
エコ和歌山
エコ和歌山

県議会改新クラブで和歌山県内の視察に赴きました。初日は田辺市の「エコ和歌山株式会社」と「龍神マッシュ」そして「龍神は〜と」の三事業所を視察しました。初日から感動の連続です。

エコ和歌山株式会社は産業排水処理システムを開発しています。これは水質改善のためにイトミミズを活用するシステムです。食品工場やスーパーなど食品を扱う事業所では有機物の汚泥が溜まります。その有機物の汚泥の処理は産業廃棄物扱いとなるので処理する量によりますが相当の費用負担が必要となっています。この汚泥を処理して量を少なくすれば産業廃棄物処理の費用負担を減少させることができることになります。

その汚泥処理にイトミミズを活用するシステムを開発しているのですが、ここに和歌山県の技術が使用されています。イトミミズが生息するためには水の流れが速すぎると流されてしまいますし、流れがないと澱んでしまうので生息環境に適しているとは言えなくなります。そこで橋本市の地場産品であるパイル織物を微生物の固定床にすると共に、イトミミズが生息しやすい環境を作り出します。

まず溜まった汚泥はパイル織物に生息する細菌類が食べます。その細菌類を原生動物であるゾウリムシやツリガネムシなどが食べます。その原生動物をワムシなどの後生動物が食べます。これらは通常の活性汚泥槽で生息している微生物です。

エコ和歌山

この後生動物を食べるのがイトミミズなのですが、通常ではなかなか発生しないのです。そこでイトミミズが生息できる環境をパイル織物で作り出して汚泥槽に入れることでイトミミズが発生するのです。有機物の汚泥が大量にあればあるほど微生物が増えますから、この食物連鎖が機能し、汚泥処理が進んでいくのです。

この自然界の法則を活用するシステムを「エコ和歌山」が開発しているのです。ですから難しいシステムではなく自然界の摂理を利用しているので、有機物の汚泥処理には例外なく有効な手段となります。

これまでこのシステムが出来なかったのは、イトミミズを発生させるしくみが開発できなかったからです。このシステムが和歌山県の産品であるパイル織物で完成するのですから和歌山県の技術と着眼点は素晴らしいものがあります。

「エコ和歌山」が開発に要した期間は4年間、研究費は約3千万円だそうです。この研究の期間は利益を生み出すことができないので中小企業には厳しい期間になります。この4年間を耐えてきたことからこの新しいシステムを世に送り出すことができたのです。

当たり前の話ですが、研究開発と商品化にはアイデアと期間、そして資金が必要となります。この期間を乗り越えてきたことから「エコ和歌山」は収益を生み出す体制を整えられたのです。

「エコ和歌山」の中田代表は、地元を活性化したかったこと。地元で若い人たちが働ける場所を作りたかったことなど地元への思いがあり田辺市内で事業を興してくれています。

若い人達が起業し、成長していくことを楽しみにしています。

龍神マッシュ

和歌山県に暮らしていても龍神村は神秘的な場所で、何があるのか興味深いところです。

龍神温泉は日本三大美人の湯の一つであり、楊貴妃桜に代表される伝説もあります。そして龍神シイタケも龍神村を代表する産品です。その味は「素晴らしい」の一言に尽きます。

龍神マッシュ 龍神マッシュ

龍神村でシイタケを生産している「龍神マッシュ」の視察も感動体験となりました。シイタケ栽培のハウスと加工場を見せてもらいました。シイタケは毎朝午前5時に収穫します。収穫されたシイタケは加工場において手作業で選別され、パックに詰め込んでいきます。基本的に、A級品からC級品までランク付けをしていき販売ルートに乗せていきます。

龍神マッシュ

龍神マッシュのシイタケの特長は大きくて肉厚があることです。その大きさは8センチから10センチもあり、肉厚も驚くほどです。

このシイタケ栽培は10年前から開始して、ようやく軌道に乗り始めているようです。シイタケ栽培に取り組んだのは村の材木産業の不況があり、村の活性化と村の名産品を作り出したいと思ったからです。

やるからには他にないものを作り出したいと思い、10センチもある大きなシイタケを生み出すことになるのです。市場にある見慣れたシイタケ作りには見向きもしないで、オリジナルのシイタケを作り出したのです。

龍神村の廃校になった中学校の校舎を村から買い取りシイタケ加工場としたのですが、この場所が盆地であり川の近くにあったことから湿気がありシイタケ栽培に適した環境になっています。偶然も味方につけて龍神マッシュのシイタケが生まれたのです。

龍神マッシュ

おもしろい話を聞かせてもらいました。シイタケ栽培は育てる人によってシイタケの育ち方が違うそうです。同じ温室で同じ生育環境であっても、担当する人によって大きく育つことがあったり、小さいまま成長しないシイタケになったりするそうです。不思議ですがシイタケは人の心に反応しているのかも知れません。愛情を持って育てることで大きく成長していくようです。話を聞いて、愛情を持って育てられたシイタケがおいしいシイタケになると思いました。

パートさんを含めて25名の雇用を生み出している龍神マッシュのシイタケ栽培の歴史を聞き現在の状況の視察、そして大きく成長したシイタケを見て感動しました。感動できる物語のある商品は市場から受け入れられると思います。

龍神は〜と
龍神は〜と

龍神村を代表する会社の一つが「龍神は〜と」です。15年ぐらい前から「龍神は〜と」の名前は響いていました。龍神村の素材を活用した製品を作り世に送り出していたからです。龍神村で収穫される素材だけを使い、ここだけの商品を開発しています。素材と共にデザインも地元田辺市のデザイナーに依頼して可愛いパッケージに仕上げています。

今も商品開発を続け、たくさんのアイテムが並んでいました。