活動報告・レポート
2017年8月15日(火)
奨学金制度

進学と就職の話を行いました。和歌山県の県外大学進学率は全国で一番高い数字になっています。これだけ高校を卒業すると県外に進学する人が多くなっています。また子どもの貧困も問題になっているので、和歌山県では奨学金制度を充実させています。

両親の所得や本人の学校の成績、卒業後は和歌山県に戻ってくることなど、いつくかの条件がありますが、条件が整えば和歌山県から奨学金を受けられる対象になります。

和歌山県が設けている奨学金制度は、年間30万円の給付、4年間で240万円の給付を受けられるので、進学のため奨学金を必要としている生徒にとって有利な制度設計になっています。

ここで制約条件になっているのが「卒業後は和歌山県に戻ってくること」です。4年後のことは誰にも分からないからです。和歌山県の多くの生徒は、大学を卒業した後は故郷和歌山県に戻って来たいと思っていると思いますが、それが叶わないのは県内で就職する会社が限られているからです。和歌山県内で就職先が決まるのであれば、Uターンしてくれるのですが、県外で生徒にとって有利な就職が決まってしまうと、和歌山県に戻って来なくなるのです。生徒の人生設計を思うと仕方ないことですが、和歌山県として奨学金制度を利用して進学した生徒は戻って来て欲しいと考えています。

和歌山県の奨学金制度の原資は皆さんからいただいた税金ですから、奨学金として無償提供する限りは、卒業後は故郷に戻って故郷発展のために尽くして欲しいと思うのが当然のことです。

和歌山県民の皆さんが和歌山県の子ども達の進学のために税金を負担してくれているものであり、直接、恩返しはできないとしても、間接的に恩返しをして欲しいと思うのです。そのためには、卒業後に自らの才能を故郷のために発揮することが恩返しになると意識して欲しいのです。

大学に進学する時は、卒業する4年先のことは分からないと思うのは当然ですが、最初から故郷を離れて就職をすると言うのではなくて、自分のために奨学金を提供してくれ、自分を成長させてくれた和歌山県に戻って恩返しをしたいと思って欲しいのです。

奨学金を受けた生徒には、このご恩を感じて欲しいのです。

「帰って来たいけれど就職先が少ない」という意見があります。残念なことですが、現状はその通りだと思います。例えば東京の大学に進学した生徒は、卒業時には名だたる上場企業への就職が可能ですが、和歌山県に戻るとなればそうはいきません。保護者にすれば、子どもの就職先は誰でも知っているような企業に就職して欲しいと願うのは当然のことです。また子ども達も、自分の能力を生かすためには名だたる企業に就職したいと思うのは当然のことです。

和歌山県としては、和歌山県内の子どもの進路も大切に考えていますし、子供の将来も大事だと考えています。

ですから上場企業への就職が決まっている生徒に対して、「何が何でも和歌山県に戻ってくれなくては困る」とはならないのです。

ここに、「県外の大学卒業後は地元へ就職すること」という条件を付すことの難しさがあるのです。奨学金を必要としている子ども達に奨学金を支給してあげたいと思う反面、県外に進学すると戻って来ないと思ってしまう一面があります。

子ども達に戻って来てもらうためには、和歌山県内の有力な就職先を確保することが求められると思います。奨学金制度と地元への就職の問題を考える時、時代が変わっていることを実感します。

和歌山県の将来を担う子ども達のために和歌山県として何ができるのか、何をすれば良いのか。時代に合致した対策を検討したいと考えています。