若い人が新しい職場に挑む決意の挨拶を聞きました。これまでの仕事を通じて成長の跡を感じる内容でした。挨拶の締めくくりに「この職場に来た時は人前で挨拶もできない人間でしたが、この間、皆さんに鍛えてもらったので、このように挨拶ができるまでになりました」とありました。しっかりとした挨拶ができるようになったと思い聞いていました。
ただ挨拶の中に「僕が担当している仕事の答えは一つだと思うので・・・」という台詞がありました。
先輩が「仕事の答えは一つではないですよ。導く答えは一つかも知れないけれど、そこにたどり着く道筋は何通りもありますし、相談した人によっては答えが同じであっても『考えてくれる』というプロセスが大事なことがあります。だから答えは一つと決め付けた仕事をしないで、何通りも仕事の進め方はあると思って取り組んで下さい」とアドバイスをしていました。
先輩は続けて、「何通りも方法を考えるためには法律や規定を知り、勉強する必要があります。仕事に関係する法律や規定を読むことが、答えを導くための方法を考えるために必要なことです」と伝えました。
職場を去る若い人に贈る適切なアドバイスだと思いながら聞いていました。自らの経験に基づいてアドバイスを贈る先輩が少なくなっているように思います。自らの経験は財産ですから、それを後輩に伝えることが財の活用方法だと思います。先輩から経験という財産を贈ってもらった後輩がどう生かすのか。生かし方によって成長度合いが違ってきます。
現在の小さな差は年数と共にやがて大きな差となりますから、現在において小さな差を生じさせないようにしたいものです。
20歳代の時の小さな差は取り戻す時間がありますが、50歳代になると残念ながら取り戻す時間はゼロではありませんが少なくなっています。人生を生きた先輩からの贈り物をこの若い人は受け取っているのでしょうか。経験と言う贈り物を受け取らなければもったいないと思います。
人の成長曲線は、右肩上がりに一直線に伸びるものではなくて、伸びては止まり、止まっては伸びるという階段を上るようなものです。止まっている状態の時に次の段に上るためのきっかけとなるものの一つに、先輩からのアドバイスがあります。まだその階段を上っていない人が、もうその階段を上って上から見守ってくれている先輩から「その段を上るための適切な方法」を教えてもらえることは有り難いことです。素直に聞いて生かすようにしたいものです。
人の話を聞けること。素直になって試してみること。これが成長曲線を右に向けて早く伸ばすために大切なことです。
この後の彼の成長を見守りたいと思います。
御坊市内にある組織の定時大会に出席させていただきました。今回で34回目を迎える大会でした。大会の中で挨拶の時間をいただき、最近の和歌山県内のエネルギー情勢と、関西広域連合のそれに関係する動きについて話をいたしました。
和歌山県は関西におけるエネルギー供給県で、この共生関係はこれからも続くものであること。そしてエネルギーを考える上で考えるべきことは、自然と共生、地元の皆さんとの共生、そして設備の最適化が大切だということです。エネルギーを作っても、それをお客さんに届ける設備がなければ意味はありません。設備を守っている人、技術を有する人がいることを覚えていて欲しいと思います。この地域で暮らしている人、一所懸命に働いている人が財産なのです。