活動報告・レポート
2017年4月28日(金)
天井の耐震化

平成28年に発生した熊本地震において、避難所として指定されている体育館などの天井材や照明器具などが落下して避難施設として使用できなかった事例があったことを聞かせてもらいました。

熊本地震の影響により熊本県内で指定されている562か所の内、71か所の建物が天井材などの落下で避難所として使用できていなかったようです。使えなかった71の避難所は、学校施設が45か所、市町村の体育館が15か所、公民館が3か所、庁舎が5か所になっています。

このように避難所として指定されているにも関わらず、避難所として開設できなかった事例や、体育館が使えなかった事例があり、天井などの非構造部材の耐震化が遅れていることを示しています。参考までに、非構造部材とは天井材、照明器具、壁材、ガラス窓などのことを言います。

体育館などの避難所を機能させるために非構造部材の耐震化を進めることが必要となっていますが、全国的になかなか進展していないのが現実のようです。

しかし災害対策基本法では、避難者を滞在させるための施設として市町村に対して避難所指定を義務付けていることから、避難所に指定されている施設の天井の耐震化が必要となります。

和歌山県内の避難所に指定されている施設の天井の耐震化の調査はこれからとなりますが、他の府県と同様に非構造部材の耐震化は進んでいないように思います。

今年、天井の耐震化を予定しているのは、紀の川市の荒川中学校と打田中学校の2校です。平成29年の夏休み期間を利用して天井の耐震化工事を行う予定です。

ただ和歌山県では県立高校の体育館の天井材を撤去する予定になっていますが、天井材を撤去したとしても天井壁が残りますから、大地震の際に落下する危険性は残ったままとなります。そこで天井材の落下を防ぐ工法として、ネットを設置することが有効であることを聞かせてもらいました。天井下にネットを張り巡らせることで、天井材の落下を防止する方法です。一般的に天井落下防止ネットと呼ばれるものですが、この方法で防止することが防災機能向上のための対策となります。

公立学校の場合、学校施設の防災機能向上のために活用できる支援制度があります。公立学校施設整備事業で、大規模改修の場合、補助率は3分の1となっています。この制度を活用することで学校の体育館の防災機能の向上を図ることができます。特に避難所に指定されている学校の体育館は、早急に天井の耐震化を図る必要性を感じます。

当然のことですが、地震などの発生時に学校にいる子どもの命を守ること、避難者の命を守るため事前の安全対策を講じておくことが求められます。それを怠ることは看過することはできません。直ぐに公立学校の体育館の天井などの非構造部材の耐震化の状況について調査を行い、耐震化への対応を求めたいと考えています。

防災対策として子どもや避難者の命を守ることに関して「予算がない」、「大きな地震は来ないだろう」などのコメントはないと思いますから、もし未実施であれば法律に基づいての必要な措置を実施することを求めたいと考えています。

実際に現場で状況を確認してきた人や、天井落下防止ネットの施工をしている人の話を聞くことで必要な対策が分かります。避難所の安全確保のために、事前に講じられることは実施しておくべきです。

和歌山県の防災対策として避難所に指定されている体育館などの現状を調査し、必要な対応を求めたいと考えています。調査結果は後日、ホームページで公表します。