活動報告・レポート
2017年4月10日(月)
伊勢神宮
伊勢神宮

平成25年の神宮式年遷宮の年以来4年ぶりに伊勢神宮を訪ねました。本来であれば毎年、神宮参拝をすべきなのですが、どうしても不定期になっています。その間、平成28年5月に「伊勢志摩サミット」が開催され世界に神宮が知れ渡るなど環境は変化していますが、変わらないのは私達の平安を祈る祭儀が続けられていることです。

神宮は神話の中の高天原の最高神である天照大神が「この稲を育て瑞穂の国が栄えるように治めなさい」と伝えたことから「瑞穂の国」が誕生したと伝えられています。そして日本書紀では天照大神が五十鈴川のほとりにご鎮座になり、神宮の創始につながったと伝えられています。それが今から2000年前のことです。

それ以降、神宮では神様にお食事を捧げ、五穀豊穣と平和と繁栄のための祈りを捧げる祭儀が行われています。

これらは神話と日本書紀からの言い伝えですが、日本人としてわが国の成り立ちを知ることは大切なことだと思いますし、五穀豊穣と平和、繁栄を祈り続けてくれる存在があることは素直に凄いことだと思います。祈りを捧げるのは、日本の平和と繁栄、それが世界の平和と繁栄につながっていくことを望んでのことです。2000年もの間、祈りを捧げ続けてくれている存在があることは世界に誇れることです。世界の国は繁栄と没落の繰り返しで、2000年もの間、一つの国として存続していることは奇跡だと思います。奇跡の正体が神々への祈りであり、平和と繁栄、そして全ての人に食べ物が行きわたることを祈っているのですから、争いではなく協働でこの国を築いてきた歴史を誇ることができます。

ところで「瑞穂の国」とは日本がお米を主食としていることが由縁です。神宮では一年間に1,500回以上も稲作を中心とした祭儀が行われているそうです。

神宮では次のように語ってくれています。

「稲は命の根だから『イネ』と言います。親から子どもへ、子どもから孫へとつながれてきた命は未来へ受け継がれていきます。神宮へお参りになった時、稲作を通じて果てしなく巡りゆく命の循環にも思いを馳せていただきたいと思います。自然の恵みに感謝し、神様に感謝を伝えること。ごはんの時に何気なく手を合わせて口にする『いただきます』、『ごちそうさま』に今生きている喜びを、幸せを感じることができるでしょう」という語りです。

春に豊作を祈り、秋に実りに感謝すること。この変わらない一年の営みが、私達に生きることの喜びと幸せを感じさせてくれるものです。それは日本ならどこの場所でも感じ取ることができますが、神宮を訪れると、祈りの力がそのことを強く知らせてくれます。

日本人が感じるこの祈りの力を、伊勢志摩サミットで神宮を訪れた各国首脳も感じてくれたことをそれぞれの言葉が示してくれています。

アメリカのオバマ大統領

「幾瀬にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖な地を訪れることができ、非常に光栄に思います。世界中の人々が平和に、理解しあって共生できるようお祈りいたします」。

フランスのオランド大統領。

「日本の源であり、調和、尊敬、そして平和という価値観をもたらす、精神の崇高なる場所にて」。

ドイツのメルケル首相。

「ここ伊勢神宮に象徴される日本国民の豊かな自然との密接な結びつきに深い敬意を表します」。

日本の価値の根本について、この地を訪れた首脳は深く理解してくれています。日本人として、神宮の由来とここから発信している価値観を知ることはとても大切です。

今日、参加した皆さんは「神宮の鳥居をくぐった瞬間から、特別な場所であることが分かります」と話してくれたように、周囲の空気が変わり緊張感が出てきます。そして身の引き締まる感覚が出てきたら、自然の中で生きていることを感じ、神の祈りが聴こえてきます。みんなで神宮に参拝し平和と繁栄を祈りました。