活動報告・レポート
2017年3月28日(火)
視察二日日
視察二日日

改新クラブの視察二日目を迎えました。午前は株式会社ビットポイントジャパンを訪問し「ビットコインについて」の説明を聞き、午後からは東京大学飯島教授から「フレイル」について説明を受けました。その後東京大学内で地下水利用についての説明と現地を視察するなど、得るものがあった視察となりました。

ビットコイン
ビットポイントジャパン訪問

ビットコインとは仮想通貨ではなく、暗号通貨、デジタル通貨と言う方が正しく伝わります。暗号通貨は需要と供給で価格が決定される性質を持ち、外の影響を受けない価格変動をするのが特長です。ブロックチェーンの暗号技術をベースとした暗号通貨は2009年から始まっています。世界的にプログラムが信用され普及し、現在の流通時価総額は約2兆円を超えています。ですから現在1ビットは約12万円となっています。

ビットコインは94パーセントが人民元建てで4パーセントが米ドル建てとなっているのが特徴です。日本円建ての取引は1パーセント未満のようです。

日本では2016年5月25日に改正資金決済法が可決されていて、2017年4月1日から施行されることになっているので、本年度はビットコイン元年にあたります。国内の一日当たりのビットコイン取引量は約100億円で、国内の2500店舗でビットコイン決裁が導入されているようです。

ビットコイン

銀行では三菱東京UFJ銀行がMUFGコインを発行し、みずほ銀行が海外送金にブロックチェーンを活用し始めています。このように大手金融機関が暗号通貨を決済手段として活用し始めているのです。

ところで暗号通貨の種類は600種類以上存在していて、ビットコインも暗号通貨の一種類です。

このように取引されていて決済手段としても活用され始めている暗号通貨は、インバウンド観光用として使用できる可能性があります。和歌山県に来る外国人観光客がビットコインを決済として使えるなら、観光客は外貨持ち出し金の制限を受けませんから、高い買い物もできますし、暗号通貨が「決済手段として使える和歌山県」であればインバウンドで優位に立つこともできます。観光行政の他、決済手段として活用できれば、利便性が高まることも考えられるので、これを機会に研究したいと思っています。

ビットコインの特長をまとめます。

  • 暗号技術を利用したデジタル通貨のことで、存在しない通貨ではありません。
  • 暗号通貨はブロックチェーンに基づいたもので、データの改ざんは現在のネット社会では極めて困難とされています。
  • 暗号通貨は600種類以上あり代表的通貨がビットコインです。それに続くのがイーサリアムです。
  • ビットコインの流通総額は約2兆円。価格は需要と供給によってのみ変動されます。
  • 日本でも一日平均100億円以上が取り引きされています。
  • ビットコインはマウントゴックスと言う破たんした会社のイメージが強いのですが、マウントゴックスは一つの取引所に過ぎないので、ビットコインの価格もマウントゴックス破たんによる影響は受けていません。

以上のような特長があります。今後、観光などに生かすためには研究が必要です。

ビットポイントジャパン訪問
フレイル

東京大学医学博士の飯島教授と神谷特任研究員に研究室で会い、フレイルについて教えてもらいました。フレイルとは直訳すると虚弱のことを指しますが、虚弱状態と表現すると 伝わり方が良くないので別の表現を考えたものです。

ですからフレイルとは健康と介護の中間地点の状態のことで、本人の頑張り次第で健康な状態に戻すことができる状態のことを言います。健康と介護の間にフレイルという概念があることを知りました。フレイルは飯島教授が厚生労働省に呼び掛けて、この状態のことを表す名称としてフレイルを提唱し、徐々に浸透しているところです。

フレイル状態の人は食事や運動を取り入れることで健康を取り戻すことができるので、健康寿命の延伸にもつながります。介護状態になってしまうと、残念ながら健康な状態に戻ることは困難なので、より長く人生で健康でいるためにもフレイルの意識を持っておきたいものだと思います。

フレイルを意識するためには、次の三つのことが大切です。

中間地点であること。人は健康から介護へとスラロームを降りていくことになります。そのスラロームを緩やかな状態にするためにもフレイルの考え方が大事になります。

可逆性があることです。フレイルはリバースができるので、気付くこと、行動することで健康な状態に戻ることが出来ます。そして気付きは早い方が、より早く健康に戻ることができます。健康に戻るベクトルを太くするためには、気付きと行動が必要となります。

多面的であることです。元々運動習慣のある人は、「今よりも一日2,000歩、歩くと健康になりますよ」と指導されると、今よりも2,000歩多く歩くことができます。しかし全くウォーキングしていない人に同じ指導をしても歩こうとしません。このように意識によって同じ指導をしても違うのです。多面的であることがフレイルの状態の人を健康に戻すことを難しくしているのです。

継続すると言うスイッチを持っている人が運動や食事の気遣いができるのです。継続するためのスイッチを持っていない人に運動してもらうことは極めて困難なことなので、この層にどう気付いてもらうかが課題です。

またソーシャルフレイルという概念があり、社会的に孤立してしまうと健康状態が悪くなることも考えられています。社会参画が健康に大切なことなので、孤立しないで人と会うこと、人と食事をすることなどを心掛けることも大切です。

東京大学研究室訪問

とにかく健康維持のため、フレイル状態から脱却するためには、本人の気付きと行動が必要となります。人がどれだけ呼び掛けても、その人に気付きと行動がなければその状態から更に悪化するだけです。悪化の速度が速いか遅いかの違いがあるだけで、気付きと行動がなければ、やがて介護が必要となります。

行政としてフレイルのことを学び、このフレイル状態にある時に健康な状態に戻すように対策を講じることも検討課題だと思います。既に健康増進の取り組みを行っている先進地では、フレイルテストなどの取り組みを行っています。和歌山県でも実施することを提案したいと考えています。

地下水利用

東京大学医学部付属病院の一部で地下水利用を実施しようとしています。現在工事中のため現場の視察も行いました。地下水利用によってコスト削減が図れること、大地震が発生しても地下水利用の場合、断水の危険性が少ないこと、仮に断水しても復旧が容易であることなどから病院での導入が進んでいます。

熊本市内の多くの病院は地下水利用をしていたことから、熊本地震が発生しても水の問題で病院機能は失われませんでした。特に透析病院では水が不可欠なので、災害時の安全確保の観点から地下水利用を導入しているようです。

東京大学を始めとする大きな病院などでは地下水利用を導入し始めています。巨大地震の発生が言われている和歌山県で導入が進んでいないことは、今後、早期に解決すべき課題だと思います。新しい技術とそれに伴うコスト削減を図ることが経営上の大切な視点ですが、和歌山県も地震対策としてその視点を持ちたいものです。