和歌山県内外で活躍しているSさん。社会で議論されていることへの疑問を話してくれました。「報道されていることは現場の真実を伝えきれていないことがあります。報道されていることで関心のあることは、自分が現場に行って見ること。現場で人の話を聞いてくることが大切です。検証しないことには自分で語ることが出来ません」と話してくれました。その通りで、実際の現場を知らなければ人に語ることはできません。
ところが最近はインターネットで情報を得て、それを自分が調査して得られた事実のように伝える人がいます。インターネットで情報を得ることは準備段階として大事なことですが、それで結論付けてはいけません。必要な情報を得た後は現場に入り、自分で見たことや聞いたこと、そして感じたことを付加して情報の精度を高める必要があります。自分が直接見たり聞いたりして加工していない情報は役に立ちません。
ところで補助金制度についての意見をいただきました。国や地方自治体の施策として企業を支援するための補助金制度があります。補助金を受けるための条件として経営効率化が求められることがあり、その場合はIT化や作業効率化を図りますが、経費削減の手段として人員削減を求めるよう補助金を支出する側から指導があります。
IT機器を導入することで、例えば人員を4人から2人に削減できるとします。経営効率化を図る目的なのでIT機器導入のための補助金が支給されます。でも2人の人員削減を実行していることから、2人が失業することもあり得ます。補助金を支給して効率化を図った代わりに人員削減で失業者が増え、その2人に社会保障の必要が生じるとすれば、何をしているか分かりません。税金で補助金を支出し、税金で社会保障をしているようでは、差し引きゼロですから補助制度の成果があるとは言えません。
国や地方自治体がそんなことで税金を使っているとしたら、改善すべきだと問題提起をしてくれました。補助制度を創設するよりも国や地方自治体が金融機関から貸付を受けられるようなしくみを創る方が経営者のためだと言う話です。補助金を貰わなくても何が何でも実行しようとしている経営者は、補助金の適用が受けられなくてもアイデアや練った企画を実行しようとします。
むしろ補助政策よりも金融機関からの融資を受けられるようなしくみを創ってくれることを望んでいるようです。金融機関の協力も必要ですが、地域内の資金需要を賄えるだけの融資が必要です。
この制度設計を和歌山県で実現させてほしいと依頼をいただきました。地域の特性を把握している意見だと思います。
仕事をしていくに当たって一番大事なことは信頼です。その人が信頼できる人であれば、「一緒に仕事をしよう」と思いますが、そうでなければ「この問題は先送りにしよう」と思うものです。訪問した先の幹部職員さんは「社会的に信頼されていない人や誰に聞いても良く言う人がいない場合は、関わらない方が良い」と話してくれました。
人の評判は、その人の周囲の人に尋ねることが一番です。多くの場合、調査しようとしている人の周囲の人が悪く言うことはありません。でも時には、著しく周囲からの評価の低い人に出会うことがあります。
また仕事のパートナーとしてつきあいたい人物であれば、その人の周囲の人に対して、「あの人は来てもらいたい」などの意思表示をする方が良いと思います。結論からすると、地方自治体や企業が求めている人材と、そこに応募してきた人材の質が違うということです。企業が求める人材を地域で育てたいものです。