活動報告・レポート
2017年2月17日(金)
科学技術研修会初日
瑞浪超深地層研究所の東濃地科学センター
瑞浪超深地層研究所

今日と明日の二日間、研修会に出掛けました。初日の今日は、岐阜県瑞浪市にある瑞浪超深地層研究所の東濃地科学センターと、土岐市にある核融合科学研究所の二か所を訪れました。どちらも現代の科学技術の先端を行く研究をしている研究所で、日本の科学技術の凄さを感じることが出来ました。

最初に訪れたのが瑞浪超深地層研究所の東濃地科学センターです。ここは地下の世界の研究を行っています。

私達にとって地下の世界は未知の世界です。今回は地下500メートルの場所に入らせてもらいましたが、人が日常活動をしていない未知の領域でした。地下鉄で地下約40メートルなので、もっと深い地点に到達したことになります。地下に向かって掘削する費用のことを言うと凄さが分かります。1メートル掘るのに必要な費用は約1億円だそうなので、500メートル掘るためには約500億円を要しています。そんな凄い世界に入る経験はできることではないので貴重な時間となりました。

瑞浪超深地層研究所

地下には縦に掘られた坑道をエレベーターで降りて行きます。100メートル降りるのに1分かかりますから、500メートル地下に到達するのに5分要することになります。閉所恐怖症や高所恐怖症の人は降りることができないということです。

また100メートル地下に降りる毎に地上から2度から3度気温が上昇します。500メートル地下なので地上と比べて10度から15度気温が高くなっています。そのため地上の気温は3度でしたが、地下は温かく感じたのはそのためです。冬は暖かく感じることができますが、夏は暑くて湿度が高いため長時間作業ができないようです。

そして地下500メートルの世界には地下水が流れ出しています。坑道を掘っているため周囲と気圧が違ってくるので地下水が空間に流れ出すことになります。一日に800トンの地下水が空間に流れ込んでくるので、溜めておくことができないので毎日のように地上に送り出しています。参考までに、800トンという量は小学校などにある25メートルプール二つ分の量だそうです。

地下水で驚いたことは、この水が約3万年前の地球に降った雨水だと聞いたことです。3万年前の水がここに溢れ出していることは不思議に思いました。地上では3万年前の水を見ることも触ることもできませんから、ここで見ること、触れることができたことは貴重な経験となりました。参考までに地下300メートルの地点の地下水は約1万年前の水のようなので、雨水は長い時間を掛けて地下に浸透しているのです。

瑞浪超深地層研究所

通常、この場所の地下500メートルは花崗岩なので、地下水は年間数ミリ動く程度なのですが、坑道を掘っていることから周囲よりも気圧が下がり周囲から水が流れ込んで来ているのです。しかも地下水は花崗岩の亀裂のあるところに沿って流れます。亀裂のない花崗岩があれば地下水はそこを流れないことになります。花崗岩の亀裂と地下水の移動の関係についても研究対象となっています。

また地下500メートルの地点には未知の微生物が生息しています。余りにも未知の微生物が多いようなので、貴重な研究対象となっています。酸素を食べる微生物や粘土質の物を食べる微生物などもいて、人間の暮らす環境にどんな影響を与えることになるのかも研究対象になっています。

地下の環境を知ることで、人類の活動領域の拡大や利用などの可能性を広げることになります。地下水の制御や微生物、生活環境の研究などを行うことで、人類の可能性を広げることになれば素晴らしいことだと思います。

核融合科学研究所
核融合科学研究所

続いて訪問した核融合科学研究所では、海水からエネルギーを取り出すことの研究を行っています。環境の負荷が小さいエネルギーの開発が急がれていますが、未来のエネルギーとして研究されているのが核融合エネルギーです。核融合とは水素などの軽い原子の原子核同士がくっついて、別の重い原子核になることを言います。水素がくっついてヘリウムになることも核融合で、その時に大きな熱エネルギーを放出しています。その熱エネルギーを利用して発電に活かすことを目指しているのです。

ところで通常の状態では原子核が単独で存在することは出来ませんから、核融合は起こることはありません。核融合を起こすためには原子核と電子をバラバラにする必要があるのでバラバラにするために高温プラズマを作りだす研究を行っているのです。

核融合科学研究所

プラズマという状態は分かり難いのですが、固体、液体、気体に続く第四の状態をプラズマと言います。水は100度で気体となりますが、プラズマの状態にするためには10,000度以上の高温にすることが条件です。この施設の実験では、過去最大9,400万度の高温を達成したことがあるようです。

核融合が実用化されるまでには最短でも30年はかかると言われています。長い研究の途中ですが、未来の人類が新しいエネルギーを受け取るためにも研究の成果が見られることを期待しています。

どちらの研究施設も岐阜県にあります。科学技術の未来を信じて岐阜県が誘致したものだと思いますから、人類の未来を明るいものにしたいという姿勢に脱帽です。

核融合科学研究所 核融合科学研究所