和歌山レオクラブのみんなと社会見学に行って来ました。午前6時50分に和歌山大学で待ち合わせをして、そこから堺港発電所と大飯発電所の二か所の施設の見学を行いました。
堺港発電所はガスタービンを採用しているLNG火力発電所ですが、和歌山レオクラブから「ガスタービンの発電利用について勉強をしたい」という依頼があり、今回実現したものです。
ガスタービンを採用した発電方式は、コンバインドサイクル発電方式と言います。従来の蒸気タービンにガスタービンを組み合わせることにより、発電効率を良くしているのが特長です。堺港発電所はコンバインドサイクル発電に設備を更新したことによって、二酸化炭素排出量を削減し、エネルギー効率を向上させています。
二酸化炭素排出量は従来の火力発電だと0.51kg-CO2/kWhでしたが、コンバインドサイクル発電だと0.36kg-CO2kWhと約30パーセントの削減となっています。
エネルギー効率に関しては、従来の火力発電は燃料の41パーセントが電気エネルギーになっていたのに対して、コンバインドサイクル発電だと58パーセントが電気エネルギーになるのでエネルギー効率は約40パーセント向上したことになります。
このようにエネルギー効率を改善し、地球環境問題へ対応している火力発電所が堺港発電所なのです。新しい堺港発電所は平成22年に全て完成し、出力40万kWの設備が5台あるので総出力が200万kWの設備を有しています。関西の電力需要を大きく支えている発電所です。
続いて福井県にある大飯発電所の見学に向かいました。福井県は40cmほどの積雪があり、空気が冷たく感じました。説明と現地見学の後に質問時間を確保しました。質問時間を設けたのは、堺港発電所を見学した時に皆さんからたくさんの質問があったからです。そのため時間を確保したのですが予定時間をオーバーするほど熱心に質問をしてくれました。感心したのは説明した内容について熱心にメモを取っていたことと、たくさんの質問をしてくれたことです。学ぶ姿勢が感じられたので、とても楽しい質疑応答の時間となりました。
主な質問項目は次の通りです。
- 新エネルギーが使われ始めていますから、既存の発電所は将来いらなくなるのではないですか。家庭においては屋根にソーラーを設置することが当たり前になっているので、これまでのように電気を買う必要はなくなっています。新エネルギーが普及すれば火力発電も原子力発電も不必要になるのではないですか。
- テロ行為でミサイルなどを原子力発電所の格納容器の上に撃たれた場合、どうなるのですか。またそれに対応する方法は考えているのですか。
- わが国のメタンハイドレートの開発は進んでいるのですか。実用化の目途は立っているのですか。
- 電力会社の原子力発電に対する意識はどうなっていますか。信頼性や安全性、必要性の認識度合について教えて下さい。
- 福島第一発電所の被災地に人は住めるようになるのでしょうか。旧ソ連のチェルノブイリ発電所の事故のあったところには人は住むことができていないと思います。福島県も同じようになるのでしょうか。
- 現在の発電方式に取って代われるような未来のエネルギーはあるのでしょうか。
以上のような質問をいただきました。熱心でエネルギー問題にも関心を持ち、勉強していることが分かるものでした。
予定時間をオーバーしたほどで、和歌山市に帰ったのは午後9時頃となりました。移動時間の長さを感じない程の、楽しい社会見学会となりました。
見学会に参加してくれた皆さんに感謝しています。