午前10時30分から12時まで、事務所において議会報告会を行いました。日曜日ですが若い人たちが来てくれて、熱心に話を聞いてくれました。休日に勉強をしようと思っている若い人たちがいる和歌山市の将来に明るさを感じることができました。
今回の議会報告のテーマは「将来の年金の問題と日本の財政について」としました。このテーマは事前に話して欲しい内容を聞いていたので、将来の年金問題を中心に説明を行いました。
年金の問題の前提となる、わが国や和歌山県の将来人口予測から話を切り出しました。和歌山県に関しては、1985年に約108万7千人の人口がありましたが、以降減少を続け、2015年では約96万6千人となっています。その内、65歳以上の人口が27パーセントなので高齢社会に突入しています。人口が逆ピラミッド型で推移すれば2040年には約70万人、2060年には約50万人まで減少し、65歳以上の人口が42パーセントまで増加することになります。この状態が続くと、2060年には高齢者1人を現役世代1人で支えることになりますから、支えるための財政が成立しないことになります。
そのため和歌山県としての2060年の目標は高齢者1人を現役世代2人で支える人口形態を達成することを目指すことにしています。そのために必要な人口は2060年時点で約70万人ですから、プラス20万人を目指す必要があるのです。数字で言うと簡単なように思いますが、達成するためには合計特殊出生率の増加を促す取り組みと、社会増減に影響のある若い人たちの大学進学先と就職先を和歌山県内で確保する必要があります。進学や就職で一度県外に転出してしまうと、県内に戻ってくる人は少なくなっている現状があります。歯止めをかけるために大学の誘致や企業誘致が大切な政策となっています。
また若い人たちが起業するための支援策も必要で、和歌山県としては起業家を対象とした支援制度を設けています。現在考えられる少子化対策を行っていますから、早急に効果を見出したいと考えています。
「国民年金や厚生年金は破たんしないのですか」という質問がありましたが、「国の威信にかけても破たんさせることはありません」と答えました。福祉は国にとって重要な施策であり、年金制度を維持できなければ国家として成り立ちません。年金制度を破たんさせるようであれば国の信用は失われ、日本国債の売却や円売りなどにつながり、また若い人たちが日本の将来に不安を感じることで、国外で仕事をすることや生活の拠点を移転させることにつながります。つまり年金制度を破たんさせてしまえば国として成り立たないことを意味しています。
そのために年金制度を維持する必要があり、そのための施策として人口を増加させること、消費者物価指数に応じての年金額の減額、年金支給開始年齢の引き上げなどを検討する必要があります。まだ方向性は決まっていませんが、年金制度を維持するためのしくみを検討しているところなので、現行の年金制度を維持するための案が示された段階で説明をしたいと考えています。
他にも質問があり質疑応答を行いましたが、主な質問は次の通りです。
- 日本は借金が多く国民負担を強いているのに、何故、外国の支援を行う必要があるのですか。日本が支援した国に融資したお金は返済されるのですか。
- 日本は1,000兆円の借金がある国家ですが、国の財政が破たんすることはないのですか。国の借金の大きさが、現在の若い人たちが不安に感じていることです。
- 日本銀行は金融の量的緩和を実行していますが、実体経済、特に地方都市において経済が回復していないのは何故なのですか。
- 和歌山県のように中小企業の多い県が雇用を増やすために必要な政策はどんなものがありますか。
- 賃金が上がっていない段階で社会保障のための負担を大きくすることは止めて欲しいと思います。更に消費を自粛することになると思います。
熱心な議論を交わすことができ、楽しい議会報告会となりました。日曜日の午前は有意義な時間を過ごすことができました。
- 和歌山市内で事業を行っていた人が事業から撤退を余儀なくされた経緯について話を伺いました。狂牛病が流行した時に牛肉を扱う飲食店を経営していたので、一気にお客さんが遠のいたことが原因のようです。「人生にツキがなかった出来事です」と話してくれましたが、自力で出来ないこと、予測不可能な出来事というものがあります。
- 教育関係者と懇親会を行いました。公立中学校の学力の問題、外国語教育の問題、ICT教育の導入などの課題について話し合うことができました。