活動報告・レポート
2017年1月31日(火)
命をつなぐセミナー
命をつなぐセミナー

2人の講演を聞いてとても感動しました。「命をつなぐセミナー」の案内をいただき参加しましたが、主催者の最後の挨拶にあったように「今日の講演会に参加できた人は幸せな人です」という気持ちになりました。参加できたことは幸運だったと思います。

一人目は小児がんで7歳の長男を亡くした光武綾さんです。「カズ君」のお母さんと呼んでもらえることを幸せに感じている現在までを語ってくれました。光武さんの子ども「カズ君」は2歳の時に発病し7歳の時に小児がんで亡くなりました。短い生涯で伝えたかったことは「愛する」ということです。

7歳の子どもが亡くなる5日前に「俺、綾ちゃんの子どもで良かった」と話したそうです。綾ちゃんとはお母さんのことで、この時、光武さんは「愛していることを伝えなければ」と思ったそうです。そしてこの言葉が、それ以降の辛い時、苦しい時を乗り越えていく力になっているのです。

子どもの命が助からないと分かった時、「子どもが亡くなるならその時に一緒に死のう」と思ったそうですが、「カズ君」の懸命に生きようとする力を感じ、「この経験を伝えることがカズ君の生きた証になる。カズ君は私に笑顔で生きる力を与えてくれた」と思い、死ぬことよりも生きることを選択したと語ってくれました。そして「自分の経験を人に伝えられたらいいな」と思い、この時の経験を伝えているのです。

「お母さんを、私のことを世界で一番にしてくれた男の子」という言葉でカズ君を語ってくれました。自分のところに命を持ってやって来てくれたたった一人の男の子が、光武さんを世界一だと思わせたのです。お母さんを世界一にさせてくれる子ども、とても素晴らしいことです。

カズ君が余命二ヶ月と宣告された時、両親は担当の医師から二つの中から一つを選択することを求められました。「病院で延命治療を続けること、もうひとつは退院して残された時間を一緒に過ごすこと」の択一です。辛い選択でしたが、両親は「残された時間を一緒に過ごす時間」を選択したのです。それからの旅行や学校、運動会など、一緒に過ごした時間は「夢のような時間」だったと話してくれました。当たり前のような日常が夢のような時間だと思えることは幸せなことです。

日常を夢のような時間に変えるためには、今日と言う一日を懸命に生きること。命を与えられているのは限られた時間だから大切に生きようと思うことです。一緒にいる時間を幸せな時間へと変えていった両親の生きる力に感動しました。

余命二カ月と宣告されたカズ君は、その後十カ月懸命に生きました。輝いた時間がそこに存在していたのです。そして2006年にカズ君が亡くなってから10年が経過しています。

10年が経過した現在も光武さんの心にはカズ君が生きているようです。それはカズ君との幸せな時間を人に話すことができることで証明されています。

命をつなぐセミナー

もう一人は中新井美波さんの講演でした。小学6年生の時にT型糖尿病と診断されましたが、病気に負けないで陸上選手として活躍し、その後ラジオのパーソナリティ、作詞家、歌手としての活動を続けています。

病気と向き合って、生きるために糖尿病の注射を打っています。それは特別なことではなくて歯を磨くような日常の行為だと考えています。だから注射を打つ時も幸せな時だと感じるようにしているそうです。

事実の伝え方で考え方が変わる。自分に事実を伝える場合も同じで、辛いと思うか、幸せと思うかで考え方が変わり、その結果、行動も変わるのです。

中新井さんはSOS理論という考え方を持っています。Sは「そう」、Oは「思えば」、Sは「そう」のことで、続けると「そう思えばそうなる」ということです。つまり辛いと思えば辛くなり、楽しいと思えば楽しくなります。やろうと思えばやれますし、歌おうと思えば歌えるのです。

だから生きるということは美しいものに触れることであり、幸せを感じるために生きていると伝えてくれているようです。私達は美しいものを見るために、幸せを感じるために生きているのであって、汚いものを見たり、楽しくないことをするために生きているのではありません。

だから人生は美しいものであって、辛いものではないことを知るべきです。「そう思えばそうなる」というSOS理論を考え方に取り入れたいものです。

現在、子ども達に伝えていることは、「上手い人のことを徹底的に真似て、その後に自分の形にしていく」ことだそうです。スポーツは徹底的に上手い人の真似をすることで上達していきます。立派な大人の行動の真似をすることで立派な人になっていきます。未熟な間は真似をする、成長していくと今度は子どもに真似をされる大人になる。そんな生き方をしたいものです。

T型糖尿病であってもそれを「キミ」と呼んで向き合って、明るく元気に前向きに生きている中新井さんの話に感動しました。